ハリス氏惨敗の背景に「アメリカ中流階級の生活苦の悲鳴」が聞こえる

CASH CRUNCH

2024年11月8日(金)13時00分
ジョシュア・レット・ミラー(本誌記者)

newsweekjp20241108022417-67f99a0d9bc2eb3e518a81d1f3bb754fdcca976e.jpg

看護師のクリスティン・マディも、バイデン政権の「明るい景気見通し」は全く実感できなかった COURTESY OF CHRISTINE MADDY

「現政権から無視されているという思いを抱いている」と、マディは言う。

「経済は堅調だという政府の言葉を聞くと、突き放されたように感じる。そうした主張は、私たちが日々の生活の中で体感していることと全く違う」

楽観できる材料がないわけではない。7月には、インフレ率が2.9%まで下落した。これは21年3月以来最も低い値だ。7月には、小売業の売上高も市場の予想を大きく上回り、前月比で1%増加した。


しかし、食品や住宅、その他の必需品やサービスの価格が上昇し続けている状況が人々の心理に及ぼしている影響は極めて大きいと、エコノミストたちは指摘する。

投資会社ワーニック・スピアー・ウェルス・マネジャーズのファイナンシャルアドバイザー、ジョーダン・ロドリゲスによれば、同社の顧客である投資家たちの間では、インフレが最大の関心事であり続けている。中小企業のオーナーの場合、その傾向がとりわけ顕著だという。

「(中小企業のオーナーたちにとって)最大の不安材料は景気減退ではない。製造業やそれに類する業種では、受注はたいてい減っていない」と、ロドリゲスは言う。

「最大の不安材料は優れた人材の確保でもない。ほとんどの経営者は、インフレが最大の不安材料だと言っている」

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

新型ミサイルのウクライナ攻撃、西側への警告とロシア

ワールド

独新財務相、財政規律改革は「緩やかで的絞ったものに

ワールド

米共和党の州知事、州投資機関に中国資産の早期売却命

ビジネス

米、ロシアのガスプロムバンクに新たな制裁 サハリン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 7
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 8
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 9
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 10
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 8
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 9
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中