「トランプ2.0」に備える米株市場、関税・減税が鍵...ボラティリティーに警戒も
だが、現在の経済情勢は異なり、投資家の間では今後数カ月の株式や債券、ドルの動向について16年の経験は正確な指針にならないとの見方が出ている。
今年第3・四半期の米国内総生産(GDP)が年率換算で前期比2.8%増だったのに対し、16年は2%を下回っていた。何カ月にも及ぶ金融引き締めを受けインフレは22年の高水準から鈍化したものの、関税や減税によって再び物価高が進むとの懸念もある。16年は対照的に、インフレや成長の鈍さが米連邦準備理事会(FRB)の懸念事項だった。
インフレ再燃の兆しが出れば、緩和に乗り出したばかりのFRBが政策見通しを再考する可能性もある。
さらに、今年の選挙戦終盤に賭け市場でトランプ氏勝利を見込む動きが見られたのに対し、16年の同氏勝利は「全面的なサプライズで、市場がポジティブに反応したのもサプライズだった」とJPモルガンのストラテジストは指摘する。
関税・税制改革が鍵に
トランプ氏は全ての輸入品に10%、中国からの輸入品に60%の追加関税を課すと公約しており、関税導入案が今後数カ月の投資家の動きに大きく影響する可能性がある。
ドイツ銀行の分析によると、関税が導入されなければ、トランプ氏勝利は米GDPを約0.5%ポイント押し上げる。一方、関税が導入された場合は0.25%ポイント押し下げる。
ナティクシス・インベストメント・マネジャーズのポートフォリオストラテジスト、ギャレット・メルソン氏は「トランプ氏がどの程度積極的に関税を導入するかは依然不透明だ。関税は大統領令で導入できるため、議会の構成にかかわらず関心事になる」と述べた。