「子供がいる女性の部下は早く帰らせよう」は間違い? 組織の成長を阻む「性別ガチャ」の克服法とは
人的資本開示で上位の企業、そうでない企業の決定的な違いとは?
──最近では企業の人材の情報を社内外に公開する人的資本開示が進んでいます。ダイバーシティや女性活躍において、人的資本開示で上位にくる企業と、そうでない企業との違いは何ですか。
上位にくる企業は、社員の性別で接する態度を変えることなく、人材育成を進めています。自社の将来を担う人材として、期待を伝え、挑戦の機会を与えている。
また、トップが若い世代の労働観や幸福に対する考え方が大きく変わってきていることを認識しています。ダイバーシティ推進に取り組まないことは経営上のリスク。逆に、取り組めば今後の人材獲得や業績向上といった経営上のチャンスになる。こんなふうに、人的資本に直結する課題だと理解している企業は、取り組みが実を結んでいますね。
約8年前に取材した、お手本にしたい企業の事例を紹介しましょう。SMBCグループでは当時、人的資本開示が義務化される前から、画期的な職場復帰セミナーを開催していました。女性社員が復帰するタイミングに、自社・他社勤務を問わず夫やパートナーも一緒に受講してもらうのです。そして人事のトップがパートナーに向かって、こう語ります。「あなたの隣にいる女性は、家ではよい奥さん、よいお母さんだと思います。ただ、わが社にとってはこの会社をリードしていく大切な人材なんです」。