EV普及の「副作用」、電池回収によるレアメタル再利用に遅れている国は...
インドネシア生活環境フォーラム(WALHI)の公害・都市正義キャンペーンマネージャー、アブドゥル・ゴファール氏は「今のところ、e-wasteと電池の回収については、回収場所や輸送方法、処理施設などのインフラが不足している」と指摘。「この事実は、政府がe-wasteを優先課題としていないことを示している」と話す。
トムソン・ロイター財団はインドネシア環境省にコメントを要請したが、回答は得られなかった。
<世界最大のニッケル生産国>
世界最大のニッケル生産国であるインドネシアは、電池の再生利用を推進する一方、昨年ニッケルの生産量を約200万トン、つまり世界全体の供給量の55%にまで増やした。
活動家の推計では、ニッケル採掘により過去20年間でインドネシアの森林が18万7000─37万8000エーカー消失している。
また、ニッケルの製錬所は、主に温室効果ガスを排出する石炭火力発電所から電力供給を受けている。
また一部の専門家は、電池の再生利用も万能の解決策ではなく、新たな環境および健康リスクを生み出す可能性があると警告している。
ノルウェー科学技術大学の研究者エリック・プラセティオ氏は「現在、再生利用のプロセス自体が大量のエネルギーと化学物質を消費している」と語った。
それでも、電池の再生利用事業の処理能力は2030年までに世界全体で5倍に増える見通しで、うち70%は世界最大のリチウムイオン電池生産国である中国で計画されている。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら