最新記事
EV

EV普及の「副作用」、電池回収によるレアメタル再利用に遅れている国は...

2024年10月27日(日)14時57分
ジャカルタの商業施設に展示されたEV

10月22日、電気自動車(EV)などの電池に使われる希少金属(レアメタル)は、採掘と電池廃棄の過程で環境問題を引き起こす恐れがあるため再生利用(リサイクル)が重要だが、東南アジアは他の地域に比べて取り組みが遅れている。写真は2023年2月、ジャカルタの商業施設に展示されたEV(2024年 ロイター/Willy Kurniawan)

電気自動車(EV)などの電池に使われる希少金属(レアメタル)は、採掘と電池廃棄の過程で環境問題を引き起こす恐れがあるため再生利用(リサイクル)が重要だが、東南アジアは他の地域に比べて取り組みが遅れている。

電気で動くEVその他の機器の電池には、リチウム、ニッケル、コバルトなどのレアメタルが使われる。国際エネルギー機関(IEA)によると、これらの金属の需要は2040年までに4倍に増える可能性がある。

人権団体や環境活動家によると、これら有限な鉱物の採掘には環境汚染や労働搾取などのコストが伴う。また、電池の寿命が尽きると、廃棄された電池と有害化学物質が環境と人の健康にさらなる危険をもたらす。

NGO「クライメート・ライツ・インターナショナル」の研究員、クリスタ・シェナム氏は、各国政府はEV電池に最低限の再生材料使用を義務付けることで、再生可能エネルギー移行に必要な鉱物の需要を減らすべきだと訴える。

<後手に回る対応> 

世界最大のEV市場である中国や欧州連合(EU)では、すでに一部の電池材料の再利用が義務付けられている。

東南アジア諸国はガソリン車からEVへの切り替えを推進する一方で、電池材料のリサイクルには出遅れており、専門家は懸念を示している。例えばインドネシアは、現在10万台に満たない二輪車と四輪車のEVを、30年までに1300万台と200万台に増やすことを目指している。

ビジネス支援
地域経済やコミュニティを活性化させる「街のお店」...その支援が生み出す、大きな効果とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

衆院選の投票進む、自公で過半数が焦点 石破政権の勝

ビジネス

ECB、次回の利下げに柔軟な姿勢保つべき=オランダ

ビジネス

中国工業部門利益、9月は27.1%減 今年最大の落

ワールド

イスラエルがイランに報復攻撃、ミサイル製造施設など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:米大統領選 イスラエルリスク
特集:米大統領選 イスラエルリスク
2024年10月29日号(10/22発売)

イスラエル支持でカマラ・ハリスが失う「イスラム教徒票」が大統領選の勝負を分ける

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体どうなる? 未来を担う新時代の照明とは
  • 2
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 3
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?(ハイタッチ・ナイター・オーガニック・モーニングコール)
  • 4
    ウクライナ戦争に金正恩が「暴風軍団」を派遣...北朝…
  • 5
    ヘルソン州キンブルン砂州で、ロシア部隊をウクライ…
  • 6
    北朝鮮を頼って韓国を怒らせたプーチンの大誤算
  • 7
    MLB通には当たり前? ヤンキース「タートルネック」…
  • 8
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 9
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 10
    過去最大の素数「2の1億3627万9841乗−1」が発見され…
  • 1
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 2
    キャンピングカーに住んで半年「月40万円の節約に」全長10メートルの生活の魅力を語る
  • 3
    逃げ場はゼロ...ロシア軍の演習場を襲うウクライナ「ATACMS」攻撃、無防備な兵士たちを一斉爆撃
  • 4
    ヨルダン・ラジワ皇太子妃が出産後初めて公の場へ...…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 7
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語ではないものはどれ?…
  • 9
    2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体…
  • 10
    渡り鳥の渡り、実は無駄...? 長年の定説覆す新研究
  • 1
    ベッツが語る大谷翔平の素顔「ショウは普通の男」「自由がないのは気の毒」「野球は超人的」
  • 2
    「地球が作り得る最大のハリケーン」が間もなくフロリダ上陸、「避難しなければ死ぬ」レベル
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の…
  • 5
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 6
    ウクライナに供与したF16がまた墜落?活躍する姿はど…
  • 7
    漫画、アニメの「次」のコンテンツは中国もうらやむ…
  • 8
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
  • 9
    エジプト「叫ぶ女性ミイラ」の謎解明...最新技術が明…
  • 10
    ウクライナ軍、ドローンに続く「新兵器」と期待する…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中