最新記事
環境

2027年で製造「禁止」に...蛍光灯がなくなったら一体どうなる? 未来を担う新時代の照明とは

2024年10月25日(金)16時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
蛍光灯 

gazanfer-shutterstock

<国際的な規制の対象となり、2027年末で世界的に製造が禁止される蛍光灯。代わりを担うLED製造の現場では環境配慮型の「新たな取り組み」が続々スタートしている>

2027年末をもって、一般照明用の蛍光灯の製造・輸出入が「禁止」になる。一体なぜか。

蛍光灯には水銀が入っている。蛍光灯に電流を流すと電極から電子が放出され、その電子と水銀原子がぶつかることで紫外線が放出される。それがガラス管内の蛍光体に吸収されて、可視光線(目に見える光)として放たれる、それが蛍光灯が光る仕組みだ。

つまり、蛍光灯が光るためには水銀はなくてはならない。

しかし、水銀が人体に(他の生物にも)有害であることは誰もが知るところ。杜撰に廃棄される蛍光灯があれば、そこから自然界に有毒物質が流れ出てしまう。

こうした水銀による人体・生物・環境への影響に対する懸念から、2023年に開かれた国際会議で蛍光灯の製造・輸出入を2027年までとする取り決めとなった。蛍光灯をめぐる取り決めは「2027年問題」と呼ばれ、照明業界に大きな衝撃をもたらした。

国際会議での決定を受けてパナソニック エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW社)は10月1日、2027年9月末での蛍光灯の生産終了を発表した。取り決めを受けての生産終了発表は大手メーカーでは初だ。

パナソニックEW社は蛍光灯の国内市場シェア60%を占める最大手。1951年の発売以来、73年にわたり蛍光灯を販売し日本市場を牽引してきた。

2027年9月末の生産終了に向けて、蛍光灯の生産量は段階的に減らし、現在製造を担っている大阪・高槻工場の250人の従業員についても順次、別部門に移り、照明生産の技術を活用できる他の業務にあたるという。

パナソニック エレクトリックワークス社ライティング事業部長の島岡国康氏

パナソニック エレクトリックワークス社ライティング事業部長の島岡国康氏 Newsweek Japan

「最後の日」が近づく蛍光灯の製造について、ライティング事業部長の島岡国康氏は「最後の1台まで、きっちりと作り込んでいきたい」と語り、今後は「『光は、心を動かす。パナソニック・ライティング』をコンセプトに、心の豊かさとエコの両立に向けて進めていきたいと考えております」と述べた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

不確実性高いがユーロ圏インフレは目標収束へ=スペイ

ビジネス

スイス中銀、必要ならマイナス金利や為替介入の用意=

ビジネス

米新政権の政策、欧州インフレへ大きな影響見込まず=

ワールド

EU外相「ロシアは安保の存続に関わる脅威」、防衛費
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中