最新記事
資産運用

エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情

OVERSEAS REAL ESTATE

2024年8月31日(土)15時20分
藤田岳人(本誌記者)
移住先としても人気のあるロンドンの不動産市場

イギリスの不動産に投資する場合は、日本人居住者が多く手が届きやすいロンドン郊外の住宅が人気 I WEI HUANG/SHUTTERSTOCK

<投資先の選択肢としてだけではなく、セカンドハウスや移住先として購入する人も──。国外の不動産を買った人たちの本音とは?>

株式投資をする際、日本株だけでなく米国株や新興国株への投資を検討するのと同じく、不動産投資にも海外不動産という選択肢がある。実際、純粋な利益を目的とした投資だけでなく、別荘や移住先としての物件購入を含めてさまざまな理由で海外の不動産を購入する日本人は少なくない。

■【動画】中国の不動産大手が約15兆円を投じてマレーシア南部の人工島の上に作った巨大な街、「想定外すぎる」現在の姿

日本人から見て海外不動産にはどんな魅力があり、どんな不動産が購入されており、日本の不動産購入とはどんな違いがあるのか。そして、海外不動産を購入した人たちは、その選択を今になってどう考えているのだろうか。


まず日本人による海外不動産投資の状況について、三井住友トラスト基礎研究所の安田明宏海外市場調査部長は、「日本の企業による投資は、圧倒的に増えている」と話す。その理由は、日本で人口減少が進んで不動産需要の下落が予想されるなか、長期的に「日本にはない成長性」が期待できるからだ。

バブル期には米英の有名オフィスの取得や豪ゴールドコーストのリゾート開発などに巨額の投資が行われたが、バブル崩壊とともに下火に。2000年代になると中国が注目され、続いて東南アジアにも投資は広がっていった。現在ではアメリカ、欧州、豪州、東南アジアと全方位的になっているが、「共通項は、成長性を取りに行っているということだ」と、安田は言う。

節税効果が薄まり、個人投資家は富裕層がメインに

個人についてはどうか。安田によれば、海外不動産に投資するのは「最近は富裕層の割合が増えている印象」だという。「10年頃に、マレーシアやタイ、フィリピンなどの不動産購入が流行した時期があった。価格が安く、現地でローンが組めて買いやすかったので、投資するのはサラリーマンが多かった」

だが、「ローンの条件が厳しくなり、不動産価格が上がったことで全体の人数としては減っているのではないか」という。かつては海外不動産を購入することで多額の損失を計上し、本業の利益と相殺して節税効果を得ることもできたが、20年の税制改正などでこの手法の利用が難しくなったという事情もある。

そうしたなかで、実際に海外不動産を所有する日本人に、匿名で話を聞くことができた。誰もが知る有名企業の創業家に生まれた「超富裕層」で、日本国内にも複数の不動産を保有している人物だ。「もともと日本企業がオーストラリアとニュージーランドに所有していた商業施設群を処分したいという話があり、われわれが入札を経て落札した」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

豪政府、25年度の国債発行予定額引き上げ 予算案受

ビジネス

英FCA、金融機関のリスクテークへの姿勢見直しへ 

ビジネス

訂正企業向けサービス価格、2月は3%上昇 人件費な

ビジネス

英GSK、帯状疱疹ワクチンの認知症リスク低下効果を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 5
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中