「仕事のせいで本が読めない」のは普通? 話題書が指摘する「現代人の働き方の問題点」
働きながら本が読める社会をつくるには?
本書の結論として、三宅さんは、「全身全霊」信仰をやめ、半身で働くことを提案している。最終章の記述を引用したい。
サラリーマンが徹夜して無理をして資料を仕上げたことを、称揚すること。
お母さんが日々自分を犠牲にして子育てしていることを、称揚すること。
高校球児が恋愛せずに日焼け止めも塗らずに野球したことを、称揚すること。
アイドルが恋人もつくらず常にファンのことだけを考えて仕事したことを、称揚すること。
クリエイターがストイックに生活全部を投げうって作品をつくることを、称揚すること。
──そういった、日本に溢れている、「全身全霊」を信仰する社会を、やめるべきではないだろうか?
半身こそ理想だ、とみんなで言っていきませんか。
常に、誰もが「全身全霊」が求められる社会からは抜け出そう。そして「仕事と両立させたい、仕事以外の時間」を楽しむ余裕を生み出そう。これが三宅さんからのメッセージだ。
『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』とセットで読みたい3冊
最後に、「半身で働く」を実践するにあたってのおすすめ書籍を3冊紹介したい。ぜひ『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』とあわせて読んでもらえたらと思う。
『Joy at Work ジョイ・アット・ワーク』(近藤麻理恵/スコット・ソネンシェイン著、河出書房新社)
『人生がときめく片づけの魔法』の「こんまり」こと近藤麻理恵さんが「ときめく働き方」を教えてくれる一冊。
「ときめくかどうか」という観点は、「全身全霊を傾けるべき仕事か、それとも半身でかかわるべき仕事か」を見極める材料となるだろう。「仕事も人生も、自分の決断の積み重ねでできている」というフレーズは多くのビジネスパーソンに刺さるに違いない。
『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン、かんき出版)
80歳まで生きるとして、あなたの人生はたったの4000週間しかない──。本書はこの衝撃的な指摘からはじまる。
たった4000週間しかない貴重な人生を、あなたは何に使いたいだろう? 全身全霊をかけて仕事を頑張ってきた人に、ぜひ読んでほしい一冊だ。
『人生をガラリと変える「帰宅後ルーティン」』(リュ・ハンビン、文響社)
仕事を半身でさばけるようになって時間に余裕ができたら、あなたは何がしたいだろう?
本書は、獣医師として活躍しながらインフルエンサーとしても活動する著者が、誰もがわくわくするような「帰宅後ルーティン」を提案してくれる。本書を読めば「仕事は半身で終わらせて、『帰宅後ルーティン』のための時間を捻出しよう」と思うはずだ。
以上、話題の『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』に込められたメッセージと、本書とセットで読みたい3冊を紹介した。自分の人生の時間を大切にしたいなら、「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」という問いに向き合う時間を捻出してみてはどうだろう。
flier編集部
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