最新記事
経営者

なぜ、アイリスオーヤマは「ピンチ」のときにこそ業績が飛躍的に伸びるのか?

2024年8月27日(火)19時16分
flier編集部

映画づくりは、商品づくり

──大山会長は高校時代に多くの映画をご覧になったそうですね。映画から受けた影響はありますか。

思春期の頃、ヨーロッパの自由な発想でつくられたヌーヴェルバーグの映画に大いに刺激を受けました。人の内面を抉り出すような映画は、人生をどう生きるかを考えるきっかけにもなりましたね。


映画づくりは何を視聴者に訴えるか。これは商品づくりも同じ。消費者に何かを訴えるためには構想力がいるし、ストーリーがいる。俳優や音楽も必要です。アイリスオーヤマだと、ユーザーインという構想の中で、いかに面白いストーリーを訴えていくか。商品は俳優、販促は音楽、デザインは映像というように、すべてつながっているのです。

大事なのはキーワード。たとえば、ガーデニングなら「育てる園芸から飾る園芸」がキーワードでした。園芸に興味がなかった人にも自宅の庭で飾る文化を提案し、ガーデニングブームを牽引したのです。また、家庭の収納においても、「しまう」という従来の考え方に「探す」という新たな視点を加えて、「しまう収納から探す収納」というキーワードを提案したことで、透明のケースをヒットさせた。

今後は「日本の文化を輸出する」という想いのもと、パックごはんと水に注力したいと考えています。来日した外国人の多くが日本のご飯のおいしさに感動しますが、日本のコメを持ち帰って日本製の炊飯器で炊いても、水質が違うと日本で食べたご飯を再現するのは難しいのです。その点、パックごはんなら電子レンジで温めるだけですから、どの国でも日本のご飯の味を楽しめます。日本の水は非常においしく、こうした日本のオリジナリティある強みを活かしていきたい。

そして、人口減少を支えるために、ロボットの新規事業にも力を入れていきたいですね。ユーザーインの発想のもと、この3つの柱を育てていきたいと思います。


アイリスオーヤマの大山健太郎会長

大山健太郎(おおやま けんたろう)

アイリスオーヤマ会長。1945年生まれ。大阪で父親が経営していたプラスチック加工の大山ブロー工業所(1991年にアイリスオーヤマに社名変更)を、父の死に伴って1964年、19歳で引き継ぐ。経営者を60年間と長きにわたり務め、生活用品メーカーからLED照明・家電メーカーに業容拡大。藍綬褒章受章(2009年5月)、旭日重光章受章(2017年11月)。2018年会長就任。

◇ ◇ ◇


flier編集部

本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。

通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。

flier_logo_nwj01.jpg

20250204issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月4日号(1月28日発売)は「トランプ革命」特集。大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で、世界はこう変わる


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

コマツ、今吉専務が社長就任へ 小川社長は会長に

ビジネス

第一三共の4ー12月期、主力品好調で27%営業増益

ワールド

米軍機による移民送還、1人当たりはファーストクラス

ワールド

再送-FBI長官候補、「政治的報復」から職員守ると
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 9
    空港で「もう一人の自分」が目の前を歩いている? …
  • 10
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 5
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中