「生産性アルゴリズム」とは?...アマゾンの物流倉庫労働者の安全に懸念
倉庫ブーム
米連邦準備制度理事会(FRB)のデータによると、電子商取引と配送の爆発的な増加に後押しされ、物流倉庫セクターの雇用者数は過去10年間で約3倍の200万人近くに達した。
しかし、負傷率は平均的な職場の2倍以上だ。
米労働安全衛生局(OSHA)の元高官、ジョーダン・バラブ氏は、監視技術と分析の進歩により、企業は労働者を安全性の面でぎりぎりの状態まで追い込む手段を得たと指摘。「生産性アルゴリズムを使えば、安全性の低下を招いてでも労働者をより速く働かせるための、最新鋭の手法を洗い出せる」と語る。
カリフォルニア州の物流倉庫で働くナネッテ・プラセンシアさんは、職場に「一時停止ボタンはない」とし、「痛みがひどくてペースを落としたとしても、最終的には自分の責任になる」と話した。
アマゾンは、負傷率を下げる取り組みを前進させていると説明する。また広報のリンチボーゲル氏は、考課が従業員のコントロールの及ばない要因の影響を受けないよう、全従業員を平等に評価できるようにする仕組みになっていると強調した。
アマゾンに照準
労働団体と職場安全擁護団体は、国内最大級の施設をほぼ全て運営するアマゾンに照準を定めている。
非営利団体「ナショナル・エンプロイメント・ロー・プロジェクト(NELP)」の研究者アイリーン・トゥン氏は5月に共著で発表した報告書で、アマゾンは労働者1000人以上の米大型物流倉庫における雇用の79%を占めているが、負傷に占める比率は86%だと指摘した。
アマゾンは、NELPは「データを誤って解釈している、もしくは間違った筋書きに合わせるために重要な文脈を意図的に省いている」とする声明を出した。
OSHAは昨年、全米のアマゾン物流倉庫の安全違反に対して15万ドルの罰金を課したが、アマゾンは異議を唱えている。
同社が公表している独自のデータによると、負傷率は毎年着実に改善している。
またアマゾンは、人間工学に基づいて設計されたワークステーションからロボットによる支援まで、労働者の負担を軽減するための技術導入例をブログで列挙している。
商工会議所のフリードマン氏は、WWPAのような法律は結局、消費者のコストを高めると主張。「新たなコストが発生し、そのコストは全ての人に転嫁される可能性がある」と語った。
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