米市場の「全面高」に急ブレーキ...神経をとがらせる投資家「3つの視点」とは?
キャリートレード巻き戻し
今週は株式や金など、今年堅調を続けてきた市場が反落する一方、小型株の他、スイスフランや円など伝統的な安全資産が急上昇した。
これには単なるリスク回避以上の意味がある。
これらの通貨は長年、低金利通貨を借りて高金利通貨の資産に投資するキャリートレードのための調達通貨として利用されてきた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が強まり、米株の強さに疑念が生じ始めた今、キャリートレードが巻き戻されているのだ。
クリアブリッジ・インベストメンツの経済・市場ストラテジー責任者、ジェフ・シュルツ氏は「多くの投資家が円を売ってハイテク株を買ってきたが、最近の円高と、こうしたキャリートレードの巻き戻しに伴い、大型ハイテク株もある程度売りを余儀なくされている」と語った。
ビットコイン症候群
フィデリティのバロンチ氏は足元の相場下落を「ビットコイン症候群」だと指摘。「相場が下げている時、投資家は気にしない。遅かれ早かれ再び上昇するので、相場調整は買い直しの好機だと考える」と語り、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの変動パターンになぞらえた。
ただトレード・ネーションのシニア市場ストラテジスト、デービッド・モリソン氏は、市場の慢心を戒める。「第2・四半期決算が堅調で、今四半期についても企業から良好な見通しが示されるとの前提で、相場の一段高が予想されている。もしもそうならなかったら、利益確定の売りがさらに増えるだろう。投資家なら身に覚えがあるはずだ」と話した。
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