仲間と学びで、未来を拓く...「仲間」を重視する、人事のための「人事図書館」が話題を集める理由とは?
東京・人形町にオープンした「人事図書館」(flier提供)
<人・組織に関する蔵書1000冊。人事の「悩みの本質」に寄り添う場「人事図書館」を立ち上げ得たTrustyyle代表の吉田洋介さんに聞く>
2023年10月、「人事図書館、つくります。」というXのポストが反響を呼びました。発起人は、人事領域の第一線で活躍されてきた株式会社Trustyyle代表の吉田洋介さん。クラウドファンディングでは472名からのご支援があり募集金額の目標を達成。満を持して2024年4月1日、東京・人形町にて「人事図書館」がオープンしました。
人事が「仲間」と出会い、「本」に学んでともに磨き合う。そんな新たな図書館を立ち上げた背景とは? 今後の展望とともにお聞きします。
(※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)
人事に関する「本の英知」に気軽にふれられる場をつくりたい
──吉田さんが人事図書館を立ち上げたきっかけは何でしたか。
きっかけは3つあります。1つは、人事で困っている方々が気軽に相談できるような場をつくりたいと考えたことです。どうしたら組織がうまくいくかという人事の普遍的な課題を解決に導くような知見は、すでに50年、100年前から書籍として残されている。それが失われていくのはもったいないことだと思っていました。人事の方々がこうした知見に気軽にふれられ、相談や学びのハードルを低くしたい。そうすれば、社会課題の解決をめざす志あるスタートアップが組織課題で崩れてしまう、といった状況を減らせるのではないか、と思ったのです。
2つめは、小田原にある私の家が本でいっぱいになっていたこと。色々な方におすすめの本を聞かれるので、実際に本を広げて紹介できる場所を探していました。
そして3つ目は私自身が色々なコミュニティーの運営をしていたことです。人事のプロをめざす方のオンライン塾「壺中人事塾」の運営もその1つ。人が集まる場所が好きなので、恒常的に学び合える場をつくりたいと思っていました。
こうした3点の背景から、人事図書館の設立に至りました。めざすのは、良質な書籍によって学びを深め、仲間とともに知恵を磨き合う場。人や組織に関わる1000冊以上の蔵書と、コワーキングスペースにも相談や企画の場にもなるよう設備を整えていきました。
人事担当者が抱える「悩みの本質」とは?
──人事の方々が感じている課題について吉田さんのお考えをお聞かせください。
ここにいらっしゃる人事の方は、具体的かつ目の前のことで悩んでいるケースが多いように感じます。例えば、「採用広報はこんな文章でよいかな」といったレベル感です。人事担当者は社員や組織のために何ができるか、より良い方法を模索することに熱心な方ばかり。
ところが、社内で人事が自分一人だけの場合もあれば、人事に詳しい人がいない場合もある。かといって、社外の人事交流会で知り合った人に、個別具体的な悩みのフィードバックを求めるのは気が引けてしまう。こうした孤独を感じているのです。