最新記事
ビジネス書

仲間と学びで、未来を拓く...「仲間」を重視する、人事のための「人事図書館」が話題を集める理由とは?

2024年6月20日(木)19時24分
flier編集部

東京・人形町の人事図書館

人事施策を進めるなかでモヤモヤしたときに、すぐに相談できる場があればどうか。その場で会話ができれば、課題が言語化できるし、問いがはっきりしていきますよね。

今の時代、必要な情報はネットにあります。そんななか強いニーズがあるのは、自分の考えや判断の背中を押してもらうこと、あるいは「こうすると上手くいくよ」と意見をもらうことです。また、採用や育成など、他社の事例をサクッと知りたいという声も聞きます。そこで人事図書館では、人事経験のある司書が滞在し、「人事としてどう考えるか」の相談にのれるようにしています。

人事に求められるのは、「事をなす」という「攻め」の役割

newsweekjp_20240615083223.jpg

田中志歩さん(左)は大阪から東京に引っ越して、人事図書館を司書として支える

──人事の対応領域が幅広く、複雑になっているのですね。人事の方の課題意識について、どんな傾向や共通点があるのか、吉田さんのお考えはどうですか。

課題は、「普遍的なテーマ」と「今日的なテーマ」の両方があると考えています。前者は、採用や人事評価、組織づくりといったテーマで、このテーマの悩みが尽きることはありません。一方で、人的資本開示やコンプライアンスへの対応、組織的なDXなど「今日的なテーマ」の課題は増える一方です。とはいえ、「人事の対応領域が増えたから担当者を2倍に増やそう」とはなりませんよね。今いる人員でいかにクイックに対応するかが求められます。

必要になるのは、数多くのテーマのなかで、自社の経営にとってより重要なテーマを判断する「選球眼」。人事の意思決定が事業に与えるインパクトはこれまで以上に大きくなっていきます。

たとえば、数年前に1on1が流行しましたよね。経営者から「1on1を全社に導入してほしい」と要望があった際、人事担当者はどうするとよいか。大事なのは、社内の人的リソースが限られた中で、「はたして1on1がベストソリューションなのか?」という問いをもつこと。かける工数に対して期待できる効果が得られるのか、代替案はないのかを考え、より良い施策を経営層に提言していく役割も求められています。

──人事の役割がますます高度になっているのですね。

日本企業では人事の「人を守る」という役割が重視されてきて、それが労働者の働く条件や環境の向上につながりました。そうした「守り」も必要ですが、日本全体として事業が伸び悩む現代は、いかに事業を伸ばすかという「攻め」の役割も大事になっていきます。

人事のベースは「人を生かして事をなす」。この「事をなす」部分が置いてきぼりになっているともったいない。これからは、人事担当者が学び続けるだけでなく、人とつながっていき、一緒に知恵を出し合うことが大事になります。その文脈で、人事図書館という場を使っていただけると嬉しいですね。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国の鉄鉱石輸入、11月は2カ月連続の減少 利幅縮

ワールド

中国原油輸入、11月は前年比4.88%増 日量が2

ビジネス

街角景気11月は7カ月ぶりに悪化、物価高に懸念 ク

ワールド

中国大豆輸入、今年は過去最高か ブラジル産購入や米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 2
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    『ブレイキング・バッド』のスピンオフ映画『エルカ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中