月200時間働いても評価されない...そんな無理ゲー攻略のカギは「見るべき景色」を認識すること
解説
頑張っているのに、自分の待遇が一向に上向かない。それはもしかしたら、その頑張りが、職責に応じたものでないからかもしれません。
マネージャーが評価を得るには、緊急度が低く重要度の高い業務(本書では「第Ⅱ領域」と呼ぶ)、すなわち先を見越した仕事に時間を費やすことがポイントになります。
何にどれだけの時間を費やすか、この配分を間違えてはいけません。
責任の大きい立場の人、たとえば役員クラスであれば、半年後ではなくさらに先、1年後、2年後のことを考えておかなければなりません。経営者なら、3~5年後の中期経営計画を考える必要があります。役職に応じて、見据えるべき先々の距離が違ってくるのです。
小さな現場単位で見たら、「とにかく目の前のことを頑張ろう」となるでしょう。しかし、上掲の図のように、責任が重くなるほど高い視座に立つことになるわけですから、より遠くを見通せるはず。ロングスパンで今後の見通しを立てなければなりません。
遠くを見通すというのは、「第Ⅱ領域(緊急度が低く重要度の高い業務)に手をつける」ということです。
我々の独自調査によると、部門責任者が第Ⅱ領域の業務に割く時間が全体の25%以上を占めている場合、その部門の生産性は会社内でトップ2%という非常に優秀な成績を収めることがわかっています。この部門では、責任者が現場を離れていても、継続的にスタッフが育ちます。
一方、第Ⅱ領域に割く時間が15~20%の場合、生産性は上位20%と高いものの、責任者への依存度が高くなります。そして、第Ⅱ領域に割く時間が5~15%になるとスタッフによって生産性にばらつきが生じ、5%以下ではミスやエラーが頻発するようになります。
25%というと、トップレベルの管理職人材であれば1日8時間働くうち2時間もの時間を先々を見据えた仕事に費やしているということ。責任者が第Ⅱ領域にどれだけ時間を割いたかが、生産性にダイレクトに影響を与えるのです。
しかし、「緊急度が低くて重要度の高い第Ⅱ領域の仕事」と言われても、あまりピンとこないかもしれません。ここは時間軸で考えるとイメージがつきやすいでしょう。