最新記事
年金基金

ノルウェー政府年金基金に、NGOなどがイスラエル投資全面撤回要求

2024年5月2日(木)10時18分
ロイター

世界最大の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金に、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けているイスラエルの企業向け投資の見直しを迫る圧力が強まりつつある。写真はオスロにあるノルウェー中銀の建物で2022年6月撮影(2024年 ロイター/Victoria Klesty)

世界最大の政府系ファンド(SWF)であるノルウェー政府年金基金に、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けているイスラエルの企業向け投資の見直しを迫る圧力が強まりつつある。

30日には幾つかの非政府組織(NGO)や一部議員などから、全面的な投資引き揚げを求める声が飛び出した。

 

世界中で今、大学や資産運用会社に対して広がっているイスラエル投資の再検討要求がノルウェー政府年金基金にも波及した形。同基金の倫理委員会は既に、基金の投資対象企業がガザでの戦争に関連して投資ガイドラインに違反していないか調査に乗り出している。

ただこうした調査については、何らかの勧告が出されて実行に移されるまで時間がかかり過ぎるとの批判もある。

2023年末のデータによると、同基金のイスラエル企業への投資額は150億クローネ(13億6000万ドル)で、不動産や銀行、エネルギー、通信など76社。全投資額に占める比率は0.1%だった。

ノルウェーで活動するパレスチナ系NGOのリーダー、リネ・ハティーブ氏はロイターに「イスラエル経済は海外からの投資と米国の支援に依存しているので、現在進行中のジェノサイド(民族大虐殺)を止めるにはイスラエル経済から資金を引き揚げさせなければならない」と語った。

イスラエルは軍の行動がパレスチナ人に対する国家主導のジェノサイドだとの見方を否定するとともに、イスラム組織ハマスとの戦闘を正当化している。

一方、ノルウェー議会では左派系議員のカリ・エリザベス・カスキ氏が財務相や基金運営幹部らに、ガザでの戦争を踏まえてなぜ基金の倫理的な投資ガイドラインを厳格化しなかったのかと追及した。同氏は議会を通じてイスラエルに制裁を科し、基金にイスラエル投資から完全に撤回させたい考えだ。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中