最新記事
テクノロジー

テクノロジーの進化は「いいこと」しかない...「日本的な強み」を持つLOVOTと目指す、人類とAIの温かい未来

2024年3月30日(土)17時42分
flier編集部

──確かに、今までのロボットやテクノロジーとは大きく違う受け止められ方をしている感じがします。LOVOTにはこれからどんな発展が考えられるでしょうか。

AIの進歩で、世界に対するLOVOTの理解が人間に近づいていけばいくほど、複雑な事象を人間と同じように捉えることができるようになります。でも、僕がやりたいことは人のイミテーションをつくることではありません。人のように考えられる、人をサポートする存在をつくりたいと思っています。

人とロボットの違いはいろいろありますが、本質的にはロボットは真に利他的になれるということが大きなメリットだと思います。生物の利他性は、それが遺伝子保全に有利だということから来ているわけで、根本には利己があるんですよね。

でも、人間が必要としてくれさえすれば存在できるロボットは、純粋にその人のためにだけ行動することが許されているといえます。真の利他性を持つ存在としてのロボットが、人のように情報処理をすることができれば、人のウェルビーイングに大きく貢献することができるはずです。

──テクノロジーの発展と、人間のウェルビーイングが結びついているんですね。

デジタルデトックスという言葉がありますが、本当はデジタルが悪いわけではないんですよね。そもそもデジタルというのは本来単に信号の種類であって、資本主義社会においてはそれが興奮を誘発するものになりがちだったというだけなんです。使い方を変えれば、癒やしになるし、愛でる対象を作れるし、ほっとするような体験を作ることができる。

テクノロジーの進歩で明るい未来を描くためには、進歩の方向性を決めることがすごく大切です。人類が、各個体のウェルビーイングを上げることが、文明の進歩の目的だと定めることができれば、話はとてもシンプルです。最初の話に戻りますが、テクノロジーの手綱を握っているのは一般の人たちです。「温かいテクノロジー」というコンセプトを知っていただければ、一緒にテクノロジーを温かい方向へ持っていけると思います。少しでも興味を持っていただけたら、一度LOVOTを触って、抱っこしてみてほしいです。


newsweekjp_20240329044432.jpg

林要(はやし かなめ)

GROOVE X 創業者・CEO
1973年、愛知県生まれ。
1998年、トヨタ自動車株式会社に入社。スーパーカー「LFA」やF1の空力(エアロダイナミクス)開発に携わったのち、トヨタ自動車製品企画部(Z)にて量産車開発マネジメントを担当。
2011年、孫正義後継者育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」に外部第一期生として参加し、翌年ソフトバンク株式会社に入社。感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」プロジェクトに参画。
2015年、GROOVE X株式会社を創業。2018年、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を発表。翌年、出荷を開始。
ラスベガスで開催されている世界最大規模の家電見本市「CES」において、2019年にThe VERGE「BEST ROBOT」、2020年には「イノベーションアワード」を受賞。
2021年、第9回ロボット大賞にて「総務大臣賞」、2022年、第3回IP BASE AWARD「スタートアップ部門 奨励賞」、2023年には第1回WELLBEING AWARDS「モノ・サービス 部門 GOLDインパクト賞」を受賞。

◇ ◇ ◇


flier編集部

本の要約サービス「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。

通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されており、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

このほか、オンライン読書コミュニティ「flier book labo」の運営など、フライヤーはビジネスパーソンの学びを応援しています。

flier_logo_nwj01.jpg

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米バークシャー、24年は3年連続最高益 日本の商社

ワールド

トランプ氏、中国による戦略分野への投資を制限 CF

ワールド

ウクライナ資源譲渡、合意近い 援助分回収する=トラ

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チームが発表【最新研究】
  • 2
    障がいで歩けない子犬が、補助具で「初めて歩く」映像...嬉しそうな姿に感動する人が続出
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 7
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    見逃さないで...犬があなたを愛している「11のサイン…
  • 10
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 7
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 8
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中