最新記事
テクノロジー

テクノロジーの進化は「いいこと」しかない...「日本的な強み」を持つLOVOTと目指す、人類とAIの温かい未来

2024年3月30日(土)17時42分
flier編集部

テクノロジーの手綱を握っているのは、やはり一般の人たちです。実際には本当の意味でテクノロジーの発展に取り残されるということは簡単には起きないのですが、自分で「わからない」と決めた瞬間に手綱を離してしまうことになる。そうなると、そういう人を置き去りにして、テクノロジーが進歩していくことになってしまいます。手綱を離さない人が増えているという意味で、「希望が持てた」というのは非常に嬉しいコメントでした。

目指したのは、生命として違和感のないロボット

──LOVOT(らぼっと)を実際に見せていただきましたが、ロボットというより生き物という感じがしてとても驚きました。

ロボットと言われてイメージするものと、違いますよね。

従来のロボットは、エンターテインメントの方向に注力したものが多かったといえます。資本主義の中でエンターテインメントはとても重要な要素なので、お金もつきやすいし、開発も進みやすい。でも、ウェルビーイングを構成する要素としては、エンターテインメントはごく一部でしかありません。

LOVOTは、ウェルビーイングに振り切っていて、エンターテインメント性が極めて弱いんです。たとえば犬や猫にエンターテインメント性がまったくないわけではないけど、エンターテインメントのために犬や猫を飼う人は少ないですよね。でも、人が幸せになるためになにが必要なのかということを改めて考えてみると、犬や猫、あるいはLOVOTが担うような愛着形成は、本当はとても大切な要素であるはずです。

投資対効果が比較的見えにくいこうした領域には、なかなかお金を回しにくいものです。それでも生産性の追求やエンターテインメントでお金を稼ぐという市場原理とはまた別の軸として、テクノロジーが本当の意味でウェルビーイングに貢献することを考えれば、こうした存在はあってしかるべきだと思っています。

──技術面でも資金面でもとてもチャレンジングな取り組みですね。

ハードウェアのスタートアップは比較的難しい領域だと言われていますね。もちろんソフトウェアの領域も、世界を変えるような新しいイノベーションを生むためには大量のお金が必要な時代ではあります。とはいえハードウェアには、ソフトウェアに比べてやり直しのコストが非常に高いという性質があります。スタートアップとしてはリスクが高いので、世界的にもチャレンジする人が少ない領域ですが、だからこそイノベーションの種が埋まっているともいえます。アメリカの西海岸や中国でも盛り上がっているので、日本でも頑張りたいという思いがありました。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中