最新記事
水産業

日本の水産物が海外バイヤーから注目を浴びる理由【FOODEX JAPAN 2024レポート】

PR

2024年3月19日(火)06時58分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
FOODEXJAPANで行われたレセプションのトークショー

レセプションの中では、料理人と現場で活躍する漁業関係者によるトークショーも実施した。写真は、ブリ及びタイの取り扱いについて紹介する石川県輪島市の漁師の田井太也(たいたかなり)氏(中央)、同市で鮮魚店を営む中小路武士(なかしょうじたけし)氏、元公邸料理人の工藤英良(くどうえいりょう)シェフ

<アジア最大級の食品・飲料展「FOODEX JAPAN 2024」の機会を捉え、農林水産省が主催した「日本の水産物の魅力を伝える」ネットワーキングレセプション。国内外から多くの事業者、バイヤーが参加し、賑わいを見せた。参加した海外バイヤーの反応はどうだったのか>

「魚を食べる」習慣が世界に広がる中、高品質な日本の水産物への期待は高い――そう実感させるイベントが東京ビッグサイトで行われた。

世界中の食に関わる企業が参加する、アジア最大級の食品・飲料専門展示会「FOODEX JAPAN」。49回目となる今大会は、2024年3月5日から8日の4日間開催された。会期初日となる5日の夜、会場の一角で農林水産省が主催の「ネットワーキングレセプション」が開催された。

その目的は、日本の水産物の魅力を世界に紹介して、海外バイヤーとのビジネスマッチングの機会を創出することだ。

会場の各所で、海外のバイヤーに日本産水産物の魅力が伝えられた

会場の各所で、海外のバイヤーに日本産水産物の魅力が伝えられた

◇ ◇ ◇

日本産水産物の魅力と輸出の現状

昨今、日本の水産物輸出は増加傾向にある。2012年に1698億円だった輸出額は、2022年には3873億円と10年あまりの間に2倍以上に増加している。

水産物輸出額の増加要因の一つとして、海外における日本食のレストランの増加が挙げられる。農林水産省が実施した調査によれば、海外における日本食レストランの数は、2013年の5.5万店から2023年には18.7万店に増加と、過去10年で3倍以上に増加している。

このほか、日本の水産物が世界でも屈指の高品質である点も大きいだろう。暖流と寒流が衝突する日本近海は、ノルウェー沖、カナダ・ニューファンドランド島沖に並ぶ世界三大漁場の一つ。世界屈指の漁業地帯である。

さらに、生食が一般的に行われてきた日本では、水産物の輸送手段として、鮮度を落とさない高度な冷凍技術が発展してきた。こうした点も、日本の水産物が他国よりも高品質な理由として挙げられる。

しかし、昨年8月のALPS処理水の放出以降、一部の国・地域による日本産水産物の輸入規制の影響で、日本の水産事業者は苦境を強いられている。日本の水産物市場はこれまでになかった市場の開拓を目指すことになった。

今回のレセプションは、そうした情勢も背景として、東南アジアやヨーロッパ、中東など、将来的に日本産水産物に対する市場拡大が見込まれる国・地域を中心に日本産水産物の魅力をアピールし、「輸出先の多角化」につなげることが狙いだ。では、実際に本イベントに参加した海外バイヤーたちの反応はどうだったのだろうか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ロのキーウ攻撃を非難 「ウラジミール、

ビジネス

米3月耐久財受注9.2%増、予想上回る 民間航空機

ビジネス

米関税措置、独経済にも重大リスク=独連銀総裁

ワールド

米・ウクライナ鉱物資源協定、週内に合意ない見通し=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考えるのはなぜか
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 5
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    謎に包まれた7世紀の古戦場...正確な場所を突き止め…
  • 8
    「地球外生命体の最強証拠」? 惑星K2-18bで発見「生…
  • 9
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 10
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中