地球に優しい資産運用「グリーン投資」の手引き(前編)
INVESTING IN A GREENER WORLD
投資戦略によってリターンはまちまち
目標がはっきりしたら、次はファンド選びだ。「幸い、ファンドやETFの数は昔よりはるかに増えていて、コストも下がっている」と、チェンは言う。「問題は、ファンドを選ぶのが途方もない大仕事に思える場合があることだ」
投資評価会社モーニングスターによれば、23年半ばの時点で、サステナブルファンドの数はアメリカだけで650以上ある。この数は、23年初めに比べると11%増だ。
その中には、旧来型の投資戦略に従ってさまざまな業種の有力企業の株式(と債券)に投資しつつ、ESGを基準に企業をふるいにかけ、環境汚染を生み出していたり、温室効果ガス排出量が多かったりする企業を除外するといった具合だ。
一方、温室効果ガスの排出削減など、気候関連の目標達成を支持している企業や、サステナビリティー関連の革新的なテクノロジーの開発に取り組んでいる企業に絞って投資するファンドもある。
サステナブル投資では、どれくらいのリターンを期待できるのか。旧来型のファンドと同様に多くの優良企業に投資しているファンドは、運用成績も旧来型のファンドに近いと、モーニングスター・リサーチ・サービスのアリッサ・スタンキェウィッツは指摘する。
その点、厳しい基準で企業をふるいにかけるファンドは異なる。「除外する業種が多く、そうした業種の規模が大きいほど、運用成績は旧来型のファンドと大きく乖離する」と、スタンキェウィッツは言う。
22年、大半のESGファンドの成績は旧来型のファンドを下回った。その一因は、大手エネルギー企業など、大きく値上がりした銘柄への投資が少なかったことにある。
しかし、過去3年間もしくは5年間のデータを見ると、ESGファンドは概して旧来型のファンドより成績がよい。しかも、この種のファンドの成績は再び上向き始めているようだ。23年初めから10月20日までの間に、構成銘柄の選定基準にESGの要素を組み込んだ株価指数である「S&P500ESG指数」は、標準的な指数のS&P500より大きく上昇している。
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