最新記事
資産運用

「月5万」の積立投資は、30年後いくらに? 新NISA時代に「個人」が知るべき資産とリスクの基礎知識

A New Era of Investing

2023年12月27日(水)18時20分
加谷珪一(経済評論家)

231205P20_HKI_01.jpg

日本株のほかにも、違った特徴を持つさまざまな投資対象がある。例えば、マイクロソフトのような米国株 LUCY NICHOLSONーREUTERS

実際、そのとおりであり、株式の長期運用が当たり前の習慣として定着しているアメリカなどでは、若い頃から着実に投資残高を積み上げ、定年退職する頃には1億円レベルの金融資産を持ってリタイア生活に入るビジネスパーソンは多い。特に若い人であれば、時間を味方に付けることが、いかに有利であるのかお分かりいただけるだろう。

では、こうした長期の積立投資を行うことを前提にした場合、どのような投資対象を選べばよいのだろうか。銘柄選びは難しい問題に思えるが実はそうではない。何を選んでよいか分からないという問題は、たいていの場合、投資方針が明確でないことに起因している。投資方針さえ明確になれば、何を投資対象として選べばよいのかはハッキリしてくる。

日本株だけに投資するリスク

長期にわたって残高を積み上げていく以上、継続性は最も重要なファクターとなる。途中で投資対象が消滅するような事態は避けるべきであり、そういう意味では誰もが名前を知る超優良企業の株式というのが最有力候補となるだろう。こうした超優良企業というのは、株価が急に何倍にも上昇するケースは少なく、一般的に値動きは安定している。

安定した銘柄で十分な収益を上げるためには、株価が上昇することだけでなく、十分な配当が行われていることも重要となる。誰もが知る優良企業で業績が安定しており、今後も伸びる業界に属していて、同時に十分な配当利回りがあるという条件でスクリーニングをかけると、意外と銘柄は絞られてしまう。筆者は職業柄、「どの銘柄に投資すればよいでしょうか」と質問されることも多いが、長い投資経験がある筆者のような人間からすると、候補となる銘柄がたくさんあることではなく、投資に値する銘柄が少なすぎるということのほうがむしろ問題なのである。

日本の場合、人口減少やイノベーションの停滞によって海外と比較して経済のパフォーマンスが低く推移する可能性が高く、こうした現実を考えると日本株だけに投資をするのはリスクが高い。資金の半分程度(あるいはそれ以上)を外国の優良企業に振り分けることは、これからの時代において有力な選択肢となるだろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、FDA長官に外科医マカリー氏指名 過剰

ワールド

トランプ氏、安保副補佐官に元北朝鮮担当ウォン氏を起

ワールド

トランプ氏、ウクライナ戦争終結へ特使検討、グレネル

ビジネス

米財務長官にベッセント氏、不透明感払拭で国債回復に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    「何も見えない」...大雨の日に飛行機を着陸させる「…
  • 8
    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…
  • 9
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 10
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中