今年のクリスマス・プレゼントはチョコが人気に イギリス、苦しい懐事情を反映
プレミアム製品で利益率も改善
またメーカー各社は、今年46年ぶりの高値となったカカオ豆高騰の影響を緩和するため、販売価格を高めに設定できる「プレミアム」志向を強めた高級チョコレート製品を登場させている。
資産運用会社ボントベルのアナリスト、ジャンフィリップ・バーツキー氏は、「(プレミアム製品は)第4四半期の収益に貢献するだろう。チョコレートメーカーにとってクリスマス商戦は最大の書き入れ時だ」と語る。
ネスレでは、2022年に17.1%だった営業利益率は、今年17─17.5%になると予想している。
ネスレの最新の年次報告書によれば、製菓部門の年間売上高は約81億スイスフラン(1兆3459億円)。昨年のグループ全体での売上高は944億スイスフランだった。
調査会社ユーロモニター・インターナショナルによると、世界のチョコレート市場の規模は1235億ドル(約18兆円)。この市場が年間で最も活況を呈するのがクリスマス商戦の時期だ。
モンデリーズで営業広報担当マネジャーを務めるスーザン・ナッシュ氏は、比較的安価な嗜好(しこう)品は、ヤングアダルト層のあいだで特に人気だという。
米コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーが実施した調査では、今年のクリスマス商戦では、英国のZ世代消費者の90%、ミレニアル世代消費者の83%が、これまでより低価格な商品にシフトするつもりだと答えている。全年代では、回答者の73%がこれまでより低価格のギフト商品を買うつもりだとしている。
医師のエビー・バーンさん(29)さんは、クリスマスに友人たちと楽しむプレゼント交換会の予算を、昨年の20ポンドから今年は10ポンドに引き下げるという。
バーンさんは、ロンドン南東部キャンバーウェルのスーパー「モリソンズ」で買い物をしながら、「私たちは知らず知らずのうちに、いろいろ少しずつスケールダウンしているのかも知れない」と話す。
英国では缶入り高級チョコレートを贈ることがクリスマスのお祝いの1つになっており、サーカナによれば、国内の贈答用チョコレート市場の規模は約18億ポンド(約3,246億円)に達しているという。価格の上昇を背景に、この1年で市場規模は7%膨らんだ。
やはりサカーナのデータによれば、英国の玩具市場の規模は約20億ポンドで、今年は4%近く縮小した。
クリスマスが過ぎれば、来年に向けてチョコレートメーカーが販売条件の悪化に直面することが予想される。各ブランドがカカオ高騰の価格転嫁を試みるからだ。とはいえ業界幹部らは、それでも他の裁量消費に比べれば、チョコレート需要は持ちこたえるだろうと話している。
「懐事情が厳しくなると、消費者は可処分所得を何に使うか見直す。とはいえ、贈答用の菓子類への支出が削られてしまう可能性は低い」とナッシュ氏は言う。
(翻訳:エァクレーレン)
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら