中国政府、GDPの76%に膨れ上がった地方政府の債務「見ぬふり」限界に 解決へ本腰か
選択肢
大半のエコノミストの予想では、中央政府は国有銀行に対し、満期を迎えた融資を、より低金利かつ長期間の融資にロールオーバーするよう指導する見通しだ。この手法は「問題を先送りし、見て見ぬふりをする」策だと言われる。
銀行は、借り換えの緊急性、重要性に鑑みてこうしたロールオーバーに応じるかどうかを選別する必要がある。債務再編は銀行自体のバランスシートを毀損(きそん)し、経済の他の分野に対する貸し出し能力を損なう恐れがあるからだ。
地方政府自体も責任を担わなければならない。アナリストによると、地方政府は昨年から持ち越した起債枠を使い、バランスシート上で「隠れ債務」を公式の債券とスワップする可能性がある。これによる起債額は最大2兆6000億元に上りそうだという。
地方政府は2015年から18年にかけてもこうした措置を講じた前例がある。
また中央政府は一部の地方政府に対し、資産の売却や資産をてこにした資金調達を要請する可能性がある。
その後は財布のひもが固い中央政府の出番になる。中央政府の債務はGDP対比わずか21%で、最も財政出動の余裕がある。
別の政策顧問は「中央政府は低コストで債券を発行し、地方債務を肩代わりすることが可能だ」と述べた。
期間10─30年の中国国債利回りは2.7─3.0%と、一部の地方やLGFVが払っている7─10%に比べて大幅に低い。
グオ教授は、効果を発揮するには、中央政府は今年こうした債務の肩代わりを1兆元以上実施する必要があると言う。
アナリストによると、極めて重要な公共サービスに資金を提供するための、より直接的な中央から地方への財政移転も選択肢に入る可能性がある。こうした措置は過去にも十分な実績があり、今年の財政移転は昨年から3.6%増えて過去最高の10兆元に達する見通しとなっている。
(Kevin Yao記者、 Samuel Shen記者)