最新記事
自己啓発

不当な解雇通知はカネになる 2社から4700万円勝ち取った会社員、円満退社を可能にした「バックペイ」とは?

2023年7月18日(火)18時00分
佐藤大輝(ブラック企業元社員) *PRESIDENT Onlineからの転載

写真はイメージです

年収500万円。でも、唯一納得いかないことが......

私は人生で2度、勤めていた企業を訴えたことがある。23歳の時は不当解雇された美容の商社を訴え、20カ月ほど法廷で争った後、和解金700万円を獲得した。安心したのもつかの間、中途入社した運送会社でも2回目の解雇通知書を渡されてしまう。しかしここでも約2年争った結果、最終的に解雇は撤回。4000万円の和解金(賠償金)を受け取る条件で、円満退社する運びとなった。

 
 
 
 

なぜ、私は合計4700万円もの和解金を得ることができたのか。今回は2社目との訴訟経験をもとに、不当解雇が抱えるリスクと会社との戦い方を解説する。

人生2度目の解雇通知書を渡されたのは運送会社から。私は配車係と呼ばれる仕事を担当していた。具体的な業務内容は、例えば大型免許を持つドライバーさんへ「大阪で荷物を積んでから、神奈川の工場まで走ってください」といった指示を出すもの。約15人のドライバーを担当し、基本給は額面で約22万円。月の残業は平均40時間前後。年収は残業代や賞与等、諸々込みで500万円ほどだった。

劣悪な雇用条件だとはまったく思わなかったが、唯一納得いかないことがあった。それは、突発的な事故や荷主とのトラブルで週休2日のうち1回は電話がかかってくることだ。

役員からの説教後、わずか5日後に解雇通知

緊急対応の仕組みが組織的に整っていればいいのだが、残念ながらそこは考え方が古い会社で、「運送業だから」「ウチの会社はこうだから」といった企業勝手な理由により、勤務時間外のトラブル対応は配車係がセルフサービスで行うことになっていた。もちろんすべてサービス残業で、手当はつかない。

クビを宣告されたのは中途入社4年目を迎える頃、29歳の時だ。無休かつ無給のトラブル対応(会社携帯の対応)に疑問を覚えた私は、転勤を機に、仕事のオンとオフを切り分けることを上司に宣言した。けれどもサービス残業、言い換えるなら労働者の善意によって業務が成り立っている会社側からすると、私が自分勝手でワガママな権利を主張しているように感じたのだろう。また、これは実際に総務部長から言われたのだが、「自分たちが頑張ってやってきた努力をバカにされたような気持ちになった」そうだ。

在職中に一度だけ、総務部長と執行役員から「ちゃんと休日も電話対応しろ」と会議室でカミナリを落とされたことがある。真っ向から拒絶した私は、この説教日からわずか5日後、解雇通知書を渡されてしまった。そこには〈貴殿が希望する帰宅後、休日の電話が無い環境を会社が用意できないため〉との記載があった。裁判での会社側の主張によると、私のような社員の考え方、働き方ではお客さまの迷惑になるし、周りの社員にシワ寄せがいくことの懸念が根底にあったようだ。

自動車
DEFENDERとの旅はついに沖縄へ! 山陽・山陰、東九州の歴史文化と大自然、そして沖縄の美しい海を探訪するロングトリップ
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ関税巡る市場の懸念後退 猶予期間設定で発動

ビジネス

米経済に「スタグフレーション」リスク=セントルイス

ビジネス

金、今年10度目の最高値更新 貿易戦争への懸念で安

ビジネス

アトランタ連銀総裁、年内0.5%利下げ予想 広範な
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 7
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 8
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 9
    トランプ政権の外圧で「欧州経済は回復」、日本経済…
  • 10
    ロシアは既に窮地にある...西側がなぜか「見て見ぬふ…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 5
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 6
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    週に75分の「早歩き」で寿命は2年延びる...スーパー…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 7
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中