リスキリングと言われても「何を学べばいいの?」 そんな人こそ知るべき「独学」と「アンラーン」の効能
思考のクセは「なくそう」と決意してすぐになくせるものではありません。固定化した思考を解きほぐすためには、まずは無意識の行動を洗い出すこと。「これまでは」「通常は」の思考にとらわれていないかをチェックします。そして、「いまの考え方は前例主義かもしれない」などと気づいたら直してみる。このくり返しです。
組織内の学びの文化醸成というと、職場の大改革や大規模な研修が必要と思うかもしれません。ですが、気軽にできる「小さな習慣」の積み重ねこそが大きな意味をもちます。アンラーンの習慣を組織やチーム全体でとりいれることで、学びの文化の下地をつくれるのではないでしょうか。
もう1つは、社員が好奇心をもてる分野なら、全社的な方向性と多少ずれていても、その学びを後押しすることです。リーダー層は、社員が何に関心があるのか、日頃からキャッチアップする必要があると思います。そうすることで社員のモチベーションが上がり、成果の向上につながります。
『Unlearn(アンラーン)』
著者:柳川範之、為末大
出版社:日経BP
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ポジションごとのキャリアパス、「見える化」できている?
──人材に投資をしても若手社員がすぐに辞めてしまい、社員のモチベーションを維持しにくい。こんな課題をもつ管理職や人事担当者も少なくありません。人材育成への投資をより有意義なものにし、組織の活性化に結びつけるために、企業はどんな実践をするとよいでしょうか。
大事なのは、社員それぞれの育成プランを示すことです。日本企業では、異動や転勤、昇進などの配置転換を命じる際に、その意味づけを社員に伝えられていないケースが多いように思います。
たとえば、経理部門で働いていた人に、「来月から地方の営業所で勤務してほしい」と辞令を出すとします。その際、「5年後にはこんな人材になってほしい。そのために営業経験を積んでほしい」といった希望を会社側が伝えていれば、本人も会社から何を期待されているのかが理解できる。そして、目の前の業務が自身のキャリアパスとどう結びついているかが見えてきます。
若い人がすぐにやめてしまう原因の1つは、この意味づけが不十分だからだと考えています。目の前の仕事で身につけてほしいことが明確になってはじめて、社員もモチベーションを見出せるのです。