最新記事
ビジネス

リスキリングと言われても「何を学べばいいの?」 そんな人こそ知るべき「独学」と「アンラーン」の効能

2023年7月12日(水)18時07分
flier編集部

230706fl_lte01.jpg

1つめは、とりあえず関心をもてるテーマの入門書を3冊読んでみること。書店でふと手に取りたくなるテーマがあったら、その分野に関心があるということです。

もちろん、入門書と書かれていても自分にはわかりにくいこともあるし、名著がしっくりこないこともある。そんなときは最後まで読み通そうとせず、本を切り替えて何冊か試すと、相性がよい本に出合いやすくなります。

私自身も父親の転勤でブラジルへ渡り、高校に通わず日本から持参した参考書で独学に励んだ経験があります。その当時も、参考書は1冊に絞らず、何冊か目を通していました。こんなふうに試行錯誤しながら、興味を掘り下げることをおすすめします。

2つめのアドバイスは、自分の経験の「振り返り」です。入門書にふれる目的が知を広げることだとしたら、振り返りの目的は自身の内面や専門性の深堀にあたります。個別の経験を整理して、抽象化や一般化をすることで、そこで得た学びを他の似た場面でも応用できるようになります。多くの学問は、まさにこの「抽象化」による経験の整理に役立つもので、経済学や経営学はその典型です。

たとえば、部下との関係で困っているのなら、組織マネジメントの課題に関する一般的な理論を知り、自分の境遇に当てはめられる点を探してみます。実はこうした一般化は、歴史小説を読むときなどに無意識にやっているんです。

たとえば徳川家康が戦国時代に行ってきたことは、抽象度を少し上げると、現代の組織が苦しい局面をどう打開していくかに活かすことができます。

こんなふうに個別の経験を振り返り、理論を通じて一般化してみる。すると、異動や転職などで違う環境に移っても役立つような、再現可能性の高い知恵を得られます。

「アンラーン」の積み重ねがチームの成果を変える

──柳川先生は、「人的資本」への投資の重要性を広めていらっしゃいますが、組織内に学びの組織文化を醸成するために、リーダー層や人材育成に関わる方はどんなことに取り組むとよいでしょうか。

これからの時代は、「アンラーン」がキーワードになります。アンラーンとは、「これまでに身につけた思考のクセを取り除く」ことです。

固定化した思考にとらわれていると、環境が急変してパターンが通用しなくなった際に、迅速に対応できなくなってしまう。結果的に方向転換が遅れ、自分の成長が止まってしまいます。そうならないために、思考のクセを捨て去り、より良い学びを実践するためのプロセスがアンラーンです。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 3
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 6
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 7
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    注目を集めた「ロサンゼルス山火事」映像...空に広が…
  • 10
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中