最新記事
ビジネス

リスキリングと言われても「何を学べばいいの?」 そんな人こそ知るべき「独学」と「アンラーン」の効能

2023年7月12日(水)18時07分
flier編集部
柳川範之・東京大学経済学部教授

柳川範之・東京大学経済学部教授(flier提供)

<組織に「学びの文化」を醸成するには、大規模な研修よりもアンラーンなど小さな習慣の積み重ねの方が大きな意味を持つ>

高校へ行かず通信制大学から東大教授への道を独学で切り拓いたことで知られる柳川範之先生。著書の『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)は、2014年に出版され、学生・社会人を問わず「学びのバイブル」としてロングセラーに。学びのテーマ設定から、本の読み方、情報の整理・分析、成果のアウトプットまで、様々な独学のメソッドを紹介しています。

柳川先生は、東大で経済学を教えながらリカレント教育やアンラーニングを推進し、企業に人的資本経営の重要性を提言されています。ビジネスパーソンの「アンラーン」を促し、学びの文化を組織に浸透させるためには何が必要なのでしょうか?
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

◇ ◇ ◇


独学のメリットは「自分のペースで学べること」

──改めて、柳川先生にとっての独学の醍醐味とは何ですか。

独学の醍醐味は、自分に合ったペースで学べることです。集団講義はカリキュラムもスピードも一律ですが、本来学びのスピードには個人差があり、理解のスピードと質は必ずしも比例しません。特に社会人は学べる時間が限られており、独学なら都合のよい時間に、自分に合ったカリキュラムで進められます。

独学というと一人でコツコツ学ぶイメージがありますが、周りに勉強仲間をつくるのもおすすめです。学習の疑問点は人に相談したほうが解決しやすいし、同じ目標をもつ仲間と状況を共有するだけでもいい。

顔を合わせなくても、「この箇所はみんなつまずきやすいところなんだな」などとわかって安心したりする。それだけでも非常に価値があると思うんですよ。SNSの発達で、仲間探しも簡単になりましたよね。

東大教授が教える独学勉強法
 著者:柳川範之
 出版社:草思社
 要約を読む
(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

関心のあるテーマの「入門書」を3冊買ってみる

──「学び直し(リカレント教育)」や新たな職種転換をめざすための「リスキリング」など、近年、社会人の学びが企業や社会にとっても重要視されるようになりました。一方で、日本人の半数は、社外学習や自己啓発をしていないといわれています。柳川先生は、日本のビジネスパーソンの学びの現状についてどのようにお考えですか。

社会の変化が激しくなり、社会人が新しいスキルを身につけることがますます必要になってきました。ただ、何を学ぶべきかが明確な人はまだまだ少数で、何を身につければステップアップにつながるのかがわからない方のほうが多いように思います。そんな方に向けたアドバイスは次の2つです。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

インドが空軍基地3カ所を攻撃、パキスタン軍が発表

ワールド

アングル:ロス山火事、鎮圧後にくすぶる「鉛汚染」の

ワールド

トランプ氏、貿易協定後も「10%関税維持」 条件提

ワールド

ロシア、30日間停戦を支持 「ニュアンス」が考慮さ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 10
    野球ボールより大きい...中国の病院を訪れた女性、「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中