「能力の差」はもう重要ではない...AIが進化した今、社会と乖離してしまった「教育」はどうあるべきか?
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<なぜ好きなことだけして生きてはいけない? 『冒険の書』著者・孫泰蔵に聞く、これからの時代に必要な「アンラーニング」とは>
学校の勉強はなぜつまらないのか? なぜ好きなことだけして生きていけないのか? こうした胸に突き刺さる問いを投げかけるのが、『冒険の書』(日経BP)です。著者は、連続起業家であり多くのAIスタートアップと関わってきた孫泰蔵さん。最先端のAIにふれ、今の学校教育が社会と乖離していることに危機感を覚え、本書の執筆を決意したといいます。本書は、教育や学校のルーツを辿ることで、学びの「当たり前」を問い直す一冊でもあります。AIの進化がめざましい時代に、私たちは、何をどのように学んだらいいのか? フライヤー代表取締役CEO・大賀康史とともに語り尽くします。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
「現代人の病」から抜け出すための一歩は、問いを立て続けること
大賀康史(以下、大賀):まずは、孫泰蔵さんが『冒険の書』にどんなメッセージを込めたのかを話していただけますか。
孫泰蔵さん(以下、孫):一番伝えたかったのは、「問いを立てること」の大切さ。僕たちは今まで正解を求められる教育を受けてきて、「短期的にすごい成果を出さなければ」という、メリトクラシーのプレッシャーが常にあります。メリトクラシーとは、人はみな平等で、才能や努力によって誰もが出世できるという能力信仰のこと。この能力信仰こそ、尽きることのない不安を醸成し、「現代人の病」とでも言うべきものをつくり出す要因になっていると思うんですよね。
そこから抜け出すためには、「問いを立て続ける」ことが大事ではないか。このメッセージが本書の根幹にあります。これはアンラーニング(学びほぐし)とも言い換えられます。
問い続けていると答えがほしくなりますが、すぐに答えらしきものに飛びつくのではなく、行き詰まったら問いをずらしたり、分解したりしてみる。そうした模索を経て行動を起こすと見えてくる世界があり、やがて「核心を突いた問い」にたどり着く。そうすれば、あとで振り返ったときには、「なぜ、あんな悩みを抱えていたんだろう?」と思うくらい不安が解消され、不安を構造的に生み出すメリトクラシーを乗り越えられるのではと思うんです。
その意味で、本書は、僕がどんな問いを立てて、探究してきたのかという長い旅路の記録です。同じような疑問をもった人たちの旅の参考に少しでもなればという思いを込めました。
『冒険の書』
著者:孫泰蔵
挿絵:あけたらしろめ
出版社:日経BP
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