最新記事
キャリア

職場では「あえて負ける」──長い目で見ればプラスになる理由について

2023年5月24日(水)12時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

また、小さな問題にこだわりすぎると、大きな問題を見逃しがちになる。これを防ぐには、優先順位をつける基準と明確な理念を持っておくことが大切だ。

もちろん、どうしても譲れないことであれば、強く自己主張したほうがいい。そんなときのためにも、無駄なこだわりは捨てるべきだ。

「この人がここまで主張するからには、それだけの理由があるはず」という印象を植えつけておこう。

「はぁ。あの人、いつも頑固なんだよね。疲れるなぁ」相手にこんなふうに思われていると、妥協点を見つけるのが難しくなる。

敵を作らないようにしよう

意見のすり合わせをしているうちに、つい感情的になってしまうことがある。

口調がとげとげしくなったり、揚げ足を取るようなことを言ったり、しまいには問題を解決するという目的より負けたくない気持ちのほうが大きくなって、口ゲンカに発展してしまうことも珍しくない。

しかし人望と人脈は、キャリアの成功における基本中の基本だ。製品がヒットしなかったのなら次の仕事で挽回すればいいが、壊れた人間関係を修復するのはとても難しい。

今後のプロジェクトでも同じメンバーと力を合わせることになるかもしれないし、良好な関係を保っておきたい。自分1人だけでできることは限られている。

敵を作ってはいけない。みんなが願っているのはプロジェクトの成功であって、誰かと争って勝つことではない。

勝つことにこだわる人もたまにいるが、そういう人にはあえて負けて、自分の道を歩もう。長い目で見れば、そのほうが自分のキャリアにとって有益だ。

落ち込んでいるヒマはない

どんな担当者も、自分が関わっている製品、自分がデザインした機能、自分のアイデアが形になることを望んでいる。そのため、製品開発が中止になったり、デザインが見る影もないほど変更されたり、アイデアが不採用になると、ひどく落ち込んでしまうことがある。

でも、気を落とすことはない。重要なのは自分がその過程で何を学び、今後のプロジェクトにどう活かしていくかということ。

仕事がうまくいかなかったとしても、自分の成長につなげることはできる。それなら成功だ。同じプロジェクトを手がけても、成長する人と落ち込みから抜け出せなくなってしまう人がいるが、その選択は自分にかかっている。

今この瞬間も妥協と意地の間で戦っている、すべての人々の健闘を祈る。



 『悩みの多い30歳へ。世界最高の人材たちと働きながら学んだ自分らしく成功する思考法
 キム・ウンジュ[著]
 藤田麗子[翻訳]
 CCCメディアハウス[刊]

(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中