最新記事
経営

地球と社会に優しい「ESG重視経営」とは?

BE A TRUE ESG COMPANY

2023年4月28日(金)18時56分
ブレンダン・P・キーガン(マーチャンツ・フリート社CEO)
SDGs

ILLUSTRATION BY DRAFTER123/ISTOCK

<社員と投資家と顧客がいま最も強く求められている、環境・社会・企業統治を重んじる企業経営について>

ビジネスの世界で今、ESG(環境・社会・企業統治)への関心がますます高まっている。SDGs(持続可能な開発目標)を達成するには、企業経営でもESGを意識して、地球を守り、社会を大切にし、好ましいルールに従うことが不可欠だ。

企業の評価基準としても、ESG関連の成果が財務成績に加えて重視されるようになった。近年はESGを基準にした企業ランキングも作成されていて、多くの有名企業が上位に名を連ねている。

しかしこのようなランキングは、企業の行動を正確に映し出しているとは言えないのかもしれない。研究によると、ランキングはしばしば厳密性を欠く。ESGの領域で約束したとおりの行動を取っていない企業も少なくない。

2020年の調査によれば、働き手の約90%は、自分の勤務先の会社にはダイバーシティ(多様性)があると述べている。ところがその一方で、自分が組織の一員として受け入れられておらず、排除されていると感じている人も約30%いた。

このように働き手の願望と企業の行動の間にギャップがあることのリスクは侮れない。働き手の業務上のパフォーマンスが低下したり、会社が投資家の支持を得にくくなったりするからだ。

社員と投資家と顧客が企業に倫理的な行動を求める時代にあって、企業は今、大きな問いに直面している。それは、ESGに関する約束を守り、利益の創出と社会貢献を両立するにはどうすればいいのか、という問いだ。

もっとも、責任感ある企業は昔から、今日で言うところのESG重視の行動を取ってきた。リサイクルを実践したり、給料の決定を平等に行ったりしていたのだ。

私は「ESG」という言葉を初めて聞いたとき、その意味が分からず、調べてみた。すると、福利厚生の充実、良好な労働環境の確保、地域社会への貢献などを指すという。

これらは、私が経営者として既に自社で実践していたことに思えた。大きな成功を収めている企業経営者たちは、社員の健康と安全を重んじるなど、ESG志向の行動を以前から取っている。そこに、地球環境やダイバーシティなどの新しい課題が加わったにすぎない。

ただし昔と違うのは、ESGという新しい枠組みが登場したことの効果だ。企業がどのような行動を取るべきかという指針が生まれ、誰もがそうした行動を取る責任を課されるようになったのである。

社会的価値創造
「子どもの体験格差」解消を目指して──SMBCグループが推進する、従来の金融ビジネスに留まらない取り組み「シャカカチ」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ

ワールド

ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 売春疑惑で適性に

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中