高級車市場をリードしたドイツ車、中国で劣勢に 何が起きた?

ドイツの自動車メーカーが、「上海国際自動車ショー」に全精力を注いでいる。写真はBMWの 「i Vision Dee」。同ショーで18日撮影(2023年 ロイター/Aly Song)
ドイツの自動車メーカーが、18日に開幕した世界有数の自動車展示会「上海国際自動車ショー」に全精力を注いでいる。電気自動車(EV)時代に優位に立つには、中国で成功できるかが勝負の分かれ目になるとみているためだ。
今年の上海国際自動車ショーは、フォルクスワーゲン(VW)が取締役会メンバー全員に加えて従業員100人余りを現地入りさせるなどドイツ勢の存在感が際立ち、日本勢やフランス勢と対照的だ。コンサルティング会社オートモーティブ・フォーサイトのエール・ツァン氏は、ドイツメーカーが課題を深刻に受け止めている証左だと指摘する。
ドイツメーカーは乗用車販売の3分の1を中国に依存しており、ここで敗北した場合の打撃も最も大きい。
独BMWのオリバー・ツィプセ最高経営責任者(CEO)は記者会見で「われわれの車は機能の多くが中国に触発されたものだ」とし、中国市場は世界の潮流の先を行っていると述べた。
内燃機関の全盛時代、中国でドイツ車は技術的に世界の頂点にあるとみなされていた。ツィプセ氏の発言は、圧倒的なスピードでEV技術の開発を進めた中国メーカーにドイツメーカーが学ぶ時代へと、業界の勢力図が大きく変わったことを示している。
VWの経営陣は、他を圧倒する事業規模が低価格EVの販売競争を勝ち抜く上で追い風になるとみている。しかし、販売で負ければ生産能力の大きさは足かせになり得る。中国のEV大手、比亜迪(BYD)は今年に入り、中国でのシェアがVWブランドを上回っている。
ドイツメーカーは中国のEV市場でシェアが上昇しているが、まだまだ小さい。ロイターが中国汽車工業協会(CAAM)の販売統計をもとに計算したところ、中国EV市場におけるアウディ、BMW、VW、メルセデス・ベンツのドイツメーカー4社の合計シェアは2022年が4.8%で、20年の2.2%から拡大した。しかし、4ブランドのEV販売を全て合わせてもBYDの4分の1にすぎない。
ドイツ自動車工業会(VDA)のデータによると、ドイツメーカーの中国でのシェアは2015年の19.9%から19年に24.6%に上昇したが、その後19.1%に下がった。