最新記事
文章術

「書きたいことがなくていい」──コラムニストとライターは何が違うのか?

2023年4月19日(水)08時17分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
原稿用紙

allstoria-iStock

<書くことを仕事にしたい人は増えており、文章術の本は軒並みベストセラーとなっている。しかし、書きたいテーマがなくてもライターになれる理由について>

ブログやSNSからデビューする書き手は珍しくない。そのため、ライターを目指す人のための文章講座は人気で、書店の文章術コーナーも盛り上がっている。

しかし、「文章力以外のスキルや考え方が文章力以上に重要」と述べるのは、書籍、雑誌、ウェブメディアなど多くの媒体で活躍する、佐藤友美氏。そもそも書くことを仕事にするということはどういうことなのか? 『書く仕事がしたい』(CCCメディアハウス)より抜粋する。

◇ ◇ ◇

ライターは「書きたいこと」がなくてもいい

「書く仕事がしたい」と思っている人のなかには、「でも、何を書いていいのかわからない」とか、「書きたいことがない」という人もいると思います。

「物書きになりたいなら、当然書きたいものがあるはずだろう」と言う人もいるかもしれませんが、私自身は「書きたいことがない」人の気持ちがよくわかります。

私も、書きたいものが出てきたのは、ライターになって20年近くたってからです(逆に言うと、書きたいものが出てきたので、コラムやエッセイの仕事をするようになったのです)。

仮に、人生のゴールが幸せになることだとします。「何を書いていいのかわからないけれど、書く仕事がしたい」という人は、「手段」が決まっている人。書くことで幸せになれればいいから、別にテーマは何でもいいという人です。

一方「これを伝えたいから、書く仕事をしたい」という人は、「テーマ」が決まっている人。こういう人たちは、その「テーマ」が重要なので、ひょっとしたら手段は「書く」だけじゃなくて、映画でも音楽でも絵でもいい場合もあります。

これは私見ですが(と言っても、この本は一冊まるごと私見ですが)、実はライターになる人は、私も含めて前者のタイプが多いように思います。

自分には「これがやりたい!」といった、強いテーマがない。だから、テーマを強く持って生きている人に取材するのが楽しい。ライターになる人からは、そういう声をよく聞きます。

私の場合は、ライター初日にヘアスタイルの記事をやってみなよって言われ、「へえ、意外と楽しい」と思って髪に関する専門ライターになりました。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中