GWスタート 日本人観光客でにぎわう韓国旅行業界が抱える3つの課題とは
パンデミックが収まり海外からの観光客が戻り始めたソウルの繁華街・明洞。Kim Hong-Ji - REUTERS
<パンデミックが収まり、日韓双方に観光客が戻り始めたが......>
日本政府観光局(JNTO)が発表した2023年1月から3月の訪日外国人479万300人の3人に1人、16万700人が韓国人だった。また韓国法務部によると2023年1月から3月に韓国に入国した外国人181万7136人の5人に1人に相当する36万1121人が日本人で、いずれも外来者数2位以下をはるかに上回っている。
ソウルの繁華街にある明洞や東大門市場などは、日本人旅行者が目立って増えている。
その明洞と東大門市場の間に位置するベストウエスタンプレミアホテル国都は、宿泊者のおよそ6割を日本人が占めているという。ほかは韓国人が15%、日本以外の東アジアや東南アジアの旅行者が25%ほどとなっている。
ソウルを訪れる日本人旅行者の特徴は2つある。特定の目的をもたないこととコロナ・パンデミック前から韓国を訪れていたハードリピーターが多いことだ。
よりディープな韓国を楽しむ日本人
ホテル国都に宿泊する日本人のうち、ビジネス客は20%程度で、コロナ禍前は韓流や美容やエステ、化粧品など特定の目的をもつ旅行者が少なくなかったが、いまは特定の目的をもたない人が多いという。また旅行会社のパッケージツアー利用者は4割ほどで、半数以上が航空券とホテルを個別に手配するハードリピーターとなっている。
特定の目的をもたない日本人旅行者は、かつて旅行者と無縁だったスポットや店などを訪問する。その1つが広蔵(カンジャン)市場だ。広蔵市場は1905年、韓国初の庶民向け市場として誕生した。食品や衣類品、日用雑貨などを扱う小売店が集まる市民向け市場だが、屋台街は観光客で溢れ返っている。
海外旅行が閉ざされて、韓国全土からソウルを訪問する国内観光客が増えると、テレビ局がソウルの観光スポットとして取り上げた。観光客が増えて以降、価格上昇が著しいが、今年3月、日本テレビ「ザ!鉄腕!DASH!!」で紹介した影響もあり、日本人観光客も少なくない。
東大門市場の食品スーパーも同様だ。ノーブランド・ドゥータモール店は、大手小売チェーン、Eマートが運営する1人世帯や2人世帯など小世帯向けスーパーだ。生鮮や冷凍食品、加工食品が中心で、旅行者向け商品は皆無といえるが、日本人旅行者が目立つようになってきた。日本人には馴染みのないPB (プライベートブランド)が多く、同店を利用した日本人旅行者は、目的の商品がないと話しながらも菓子類を購入していた。