「臆病だからGoogleのリーダーになれた」30歳から知っておきたい、仕事の心得とは?
グーグル本社 SpVVK-iStock
<Google米国本社に勤務する主席UXデザイナーは47歳で入社した、韓国出身の女性。仕事で壁にぶつかったときにこそ、自分に優しくする理由について>
Googleの入社志願者は年間330万人。誰もが知る世界的企業の本社でトップに昇りつめたのは天才でも自信家でもない、しかも英語がネイティブでもない、47歳で入社したとても謙虚な韓国人女性だった。
仕事で落ち込んだときのネガティブな思考から自分を守る方法について、『悩みの多い30歳へ。世界最高の人材たちと働きながら学んだ自分らしく成功する思考法』(CCCメディアハウス)より抜粋。
やることが多いのに、何もやる気が起きないとき
新しい職場に適応するのはいつだって難しい。人間関係を一から築き、組織とその現状を把握する。プロジェクトの内容を理解して、意味のある貢献ができるようになるまでには、かなりの努力と時間が必要だ。
とはいえ、6カ月もあればだいたいのペースがつかめてくるものだが、グーグルに入社したときは半年経っても落ち着かなかった。
世界中の天才たちが集まっているかのように思えた。私が採用されたのはたまたま運がよかっただけで、ここで働けるほどの実力はないのだと感じることがよくあった。そのたびに自分の正体がバレそうで怖くなった。トイレに隠れたり、駐車場に停めた車の中にしばらく座っていたこともある。
それもそのはず、グーグルは夢を売る場所だ。社員はどんな問題を解決すべきか、なぜこれをやらなければならないのか、これが世の中をどんなふうに変えるのかといった、とても壮大かつ曖昧なビジョンについて話し合うことが多い。
機能を1つ追加するときも、ありとあらゆる哲学的解釈と意味が必要だ。「人間と機械の対話の在り方」について、無数の解釈とアプローチから、それぞれが違った提案をする。夢売る同僚たちのショーを見るたびに、私はこの会社にそぐわない人間だという恥辱感と恐怖が押し寄せてきた。
私を苦しめる思考は2種類あった。こんな状況なのにベストを尽くせていないこと、そして、そんな自分が大嫌いだということ。
「このままじゃいけない」と思いつつ、心配するだけで何もせず、食べてストレスを解消し、やるべきことを先送りしてインターネットばかり見ていた。そんな自分のことがますます嫌いになった。
締切ギリギリまで行動できず時間に追われながら仕事をするせいで、クオリティは下がる一方。それが原因でさらに思い悩んで......。悪循環の輪から抜け出すことはできなかった。