成果を出す人は「誠実でいる」「機嫌よく働く」...佐久間宣行氏が語る「ずるい」仕事の流儀
夢中で弁当を用意して、ふと気づくとロケの2時間前になっていました。弁当を持って急いで現場に行くと、驚いたことに監督が「この弁当をストーリーのメインにしたい」と言ってくれたんです。
──小道具だったはずのお弁当がストーリーのメインに! まさに雑務がチャンスに変わったんですね。
それまで、ADの仕事にモチベーションなんてありませんでした。雑務ばかりで、自分がやりたかった、クリエイティブな仕事にはつながらないと思っていましたし。
ところが、その出来事を通じて「ただの下働きなんて存在しないんだ。どんな小さな仕事も、大きな仕事につながっているんだな」と気づき、一つひとつの仕事に対する姿勢が変わっていきました。
不機嫌な人には、どう対応する?
──本書の「組織にいるうえで、不機嫌でいるメリットなど一つもない」という言葉にも共感しました。
実は僕自身、もともとそんなに怒るほうでもないんですが......仕事しているうちに気づいたんです。「どう考えても、機嫌がいいほうがトクだな」と。
楽しそうに働く姿を見せることで、新たなチャンスがめぐってくると考えています。
──その一方で、周囲を不機嫌でコントロールしようとする人も多くいますよね。
そんな人には「感情をコントロールできないと、まわりからダサいと思われる」と認識してもらうのが効果的です。
僕がよくやるのは、先手を打って相手を封じる作戦。その人に似た人をでっちあげて「実は他のプロジェクトに不機嫌な人がいて、ほんとダサかったし困ったんですよね」、「われわれのチームにはそういう人はいないですよね」と圧をかけておきます。そうすれば、誰も周囲を不機嫌で周囲をコントロールしなくなり、雰囲気のいいチームになっていくはずです。
部下・後輩の能力を引き出すシンプルな方法
──マネジメントについてもう少しお聞かせください。思うように実力を発揮できていない部下・後輩に対して、佐久間さんはどんなふうに声をかけますか。
いくつかのパターンがありますが、よくあるのは「上司から試されていると思って、委縮してしまう人」ですね。
そういう人には「もう試される時期は終わってるよ。あなたのこのスキルや経験がプロジェクトに寄与できると考えてアサインしたから、まずはそのスキルを発揮することを意識しよう」と声をかけます。
──「あなたを必要としている理由」を明確に伝えてあげるんですね。
そうですね。その人がうまくいかないのは、どの武器を評価されているのかが不明瞭だからだと思うんです。だから自信がなかったり、なんでもかんでも手を出そうとして失敗したりしてしまう。