最新記事

経営

遅刻と居眠りの多い「問題社員」は、病気の可能性も。どうすれば?【産業医が解説】

2023年1月31日(火)11時05分
日下慶子 ※経営ノウハウの泉より転載
居眠り

Freemixer-iStock.

<頻繁な遅刻や午後の居眠り。そんな従業員への対処には、まず「事例性」と「疾病性」に分けて考える必要がある>

「問題がある従業員がいて......」というご相談がよくあります。

「どうやったら問題を解決・改善できるのだろうか?」というのが重要な論点であることはもちろんですが、問題がこんがらがって、「改善できなければ、解雇できないだろうか?」というところまで追いつめられていらっしゃる経営者の方にもお会いします。

しかし、解雇は要件が厳しく簡単にはできません。そこで今回は、産業医である筆者が、"解雇"を考えるほど追いつめられる前に、経営者やマネージャーの方が現場でできる対応についてご説明します。

遅刻と居眠りの多い従業員、どうする?

よくあるご相談として、"遅刻"と"居眠り"があります。以下は、架空の事例です。

Aさんは20代男性、入社して半年の新入社員です。入社直後から「大事な会議に遅れる・仕事中に寝ている」ということが月に数回みられていました。まだそれほど難しい業務は担当していませんので、同僚や上司がカバーしていましたが、「また遅刻か」「ほぼ毎日居眠りしているよね」と、周囲からの信頼は失われつつあります。最近では「体調が悪くて」という理由での遅刻や、当日連絡による有給休暇の取得が増えています。体調不良と言われると、上司も強く注意することができません。

Aさんのような方が部下にいる場合、どのような対応が望ましいのでしょうか?

まず、何が問題なのかを関係者で共有することから始めましょう。同じ事象でも人によってとらえ方や感じ方が異なるものです。誰が、何に困っているかについて、客観的な事実を集めましょう。

上司は「Aさんのマネジメントの方法について困っている」、同僚は「Aさんの業務の穴を埋めることに疲れてきている」、Aさんは「朝起きられない、日中に眠くなることに困っている」と、立場によって困りごとの内容や困り度合いが異なるということはよくあります。

「事例性」と「疾病性」

誰が何に困っているかを整理したら、次に行うことは"事例性"と"疾病性"に分けて考える"ことが重要です。

【参考】産業医はじめの一歩-「働く人・企業」のニーズをつかむ!基本実務の考え方と現場で困らない対応/羊土社

■事例性とは

事例性とは、現場で起きていること(職務上問題になっている客観的な事実)のことです。現場で起きていることを説明するときに、つい個人の評価や感情が反映されてしまうので、事例性を描写する際には、できるだけ客観的に記述してみましょう。

例えば以下のような言い換えをしてみましょう。

(参考記事)「仕事に集中していない」要因は会社にあり?問題社員を生み出す環境を考えてみる

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国最大野党の李代表に逆転無罪判決、大統領選出馬に

ビジネス

独VWの筆頭株主ポルシェSE、投資先の多様化を検討

ビジネス

日産、25年度に新型EV「リーフ」投入 クロスオー

ビジネス

通商政策など不確実性高い、賃金・物価の好循環「ステ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取締役会はマスクCEOを辞めさせろ」
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 5
    「トランプが変えた世界」を30年前に描いていた...あ…
  • 6
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 7
    トランプ批判で入国拒否も?...米空港で広がる「スマ…
  • 8
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 9
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 10
    「悪循環」中国の飲食店に大倒産時代が到来...デフレ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 10
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中