電動トラックがブレイク、グーグル搭載車が急増? 2023年、自動車業界10の予測
TEN AUTO PREDICTIONS
トラックの実用性とスポーツカーの性能を備えるというテスラのサイバートラックも納車開始 TESLA
<不況で需要は減少、電動トラックが人気に、専門家に聞いた今年の自動車10のトレンド>
アメリカの自動車業界にとって、2022年は忙しい1年だった。
フォードの電動ピックアップトラック、F-150ライトニングの供給が追い付かず、購入者から納車時期の問い合わせが殺到したのが年初のこと。同じ頃、やはりフォードの小型電動ピックアップ、マーベリックが発売から間もなく売り切れ、今も品薄状態だ。
秋にはゼネラル・モーターズ(GM)のGMCブランドが、電動ピックアップのシエラEVデナリを公開。ピックアップ以外では新興メーカー、ルーシッドの高級セダン、ルーシッド・エアなどの電気自動車(EV)が話題になった。ダッジはアメリカ初となるEVマッスルカー、チャージャー・デイトナSRTを発表し、メルセデス・ベンツはEVシリーズEQのラインアップを拡大した。
サプライチェーンの混乱は続いたが、自動車メーカーと充電設備を手掛ける企業がタッグを組んで、EV用インフラを整備。家庭用充電設備が人気商品となった。
さて、ここまでが昨年の話。本誌自動車担当チームは、エキスパートに23年の展望を聞いた。プロが予測する10のトレンドを紹介する。
1. 供給は改善される
「在庫は昨年より増えるものの、生産を妨げるサプライチェーンの停滞は今年も続く」と、調査会社S&Pグローバル・モビリティの研究・分析部門でアシスタントディレクターを務めるステファニー・ブリンリーはみる。
S&Pグローバル・モビリティは、アメリカでの今年の新車販売台数を1470万台と予想する。4年連続で1700万台を下回ることになり、累積需要は解消されない。
「しかし、景気の後退により累積需要自体が減少するとみられる。今年は新車を求める人が減るかもしれない。新車の販売力は昨年よりも上がるが、アメリカの小型乗用車市場は好況とは言えない」
2. 景気後退で需要に歯止め
「この2年間、自動車メーカーは半導体をはじめ新車の生産に必要な物資の調達に苦心し、在庫不足が大々的に報じられた。新車の販売台数は落ち込んだが、それは需要が減ったせいではない」と語るのは、コンサルティング会社オートパシフィックのエド・キム社長。
「問題を深刻化させたゼロコロナ政策を中国が緩和したこともあり、今年はサプライチェーンに改善の兆しが見られる。結果的に新車の供給はかなり増えるだろう。
ただし景気の後退はほぼ確実で、多くの消費者が新車の購入を見合わせるかもしれない。せっかく供給が改善しても、同じタイミングで需要が減る可能性は大いにある」