大損したテスラ株依存ファンド 反転攻勢の戦略にも暗雲
米電気自動車(EV)大手・テスラの株価が急落し、同社株に積極投資してきた多くの資産運用会社は悪夢に悩まされている。写真は昨年12月、バンコクで開かれた同社のイベントで撮影(2023年 ロイター/Athit Perawongmetha)
米電気自動車(EV)大手・テスラの株価が急落し、同社株に積極投資してきた多くの資産運用会社は悪夢に悩まされている。
アクティブ運用を手がける米株式ファンドのうち、テスラ株の組み入れ比率が5%を超えるファンドは50本ある。通常、多くの資産運用会社は投資分散の観点から、1銘柄の組み入れ比率を5%以下に抑えている。
モーニングスターによると、これら50本のファンドは昨年、平均42.1%下落し、下落率は米株式ファンド全体の平均17%の2倍以上に達した。テスラ株の組み入れ比率が約52%に達するバロン・パートナーズ・リーテール・ファンドは43%近く下落している。
マスクのツイッター買収でテスラ株65%下げ
テスラ株は昨年約65%下げた。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッター買収を決めると、テスラの経営に集中できなくなるとの懸念から下落が加速した。
テスラ株は12月に37%急落した上、今年最初の取引となった1月3日には12%余りも急降下。物流の問題などによって、第4・四半期納入台数が予想を下回ったことが嫌気された。
ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブス氏は、テスラ株に強気な投資家の一部も、同株がさらに1年間低迷を続けるとみて、ポジションを減らすかもしれないと話す。
「こうした多くの機関投資家は今、岐路に立たされている。どちらに向かうかはマスク氏による部分が大きい」とアイブズ氏は指摘。「ツイッター騒動によって火を付けたのはマスク氏であり、鎮火して市場の注目をファンダメンタルズに引き戻すことができるのは、彼1人だけだ」と続けた。
マスク氏は、昨年10月に総額440億ドルのツイッター買収を完了。すぐに同社幹部らの解雇に着手し、従業員の半分以上は退職した。この間、マスク氏はツイートするごとに戦略をコロコロと変えた。
フォーブズ誌によると、マスク氏の資産は1000億ドル超も減り、世界一の富豪の座から転落した。