大損したテスラ株依存ファンド 反転攻勢の戦略にも暗雲
今のところ、最も熱心なテスラ支持者らが、同社に愛想を尽かしている様子はほとんど見られない。著名投資家キャシー・ウッド氏のアーク・イノベーションETFは3日の株価急落時にテスラ株を14万4776株買い足し、運用資産59億ドルにおける組み入れ比率が約6.5%に達したことがウェブサイトで分かっている。このファンドは昨年67%下げ、全ての米株式ファンドの中で運用成績が最低に近かった。
テスラ株を約5.3%組み入れるタナカ・グロース・ファンドのグレアム・タナカ氏も、テスラはバッテリー技術が卓越しているため、長い目で見れば株価がアウトパフォームするだろうと言う。
「ツイッターは一時的とはいえ、大いに気が散る要因となっている。マスク氏が能力に余ることに手を出したのは残念だ。だが、テスラの運営と将来の成長見通しが、傷ついたわけでは全くない」とタナカ氏は語った。
テスラが中国トップのTom Zhu氏を昇進させ、米組立工場や北米および欧州の営業部門を直接管轄させると決めたことも、良い影響をもたらしそうだ、とタナカ氏は指摘した。
リフィニティブEikonのデータによると、テスラ株の2018年から21年末にかけてのトータルリターンは1700%と、S&P500種総合指数の90%をはるかにしのいでいた。
従来の戦略のままでは失敗する恐れ
しかし、年単位の運用成績に着目する資産運用会社は、競争が激化し需要が弱まる中で、テスラ株に固執する気が失せるかもしれないとアナリストは言う。
データ分析会社・ベットファイの調査責任者、トッド・ローゼンブルース氏は「過去数年間のテスラ株の華々しい上昇は、多くのファンドの株主に恩恵をもたらした。だが、投資額を縮小しないまま従来の戦略を維持すれば、今度は失敗につながる恐れがある」と語った。
(David Randall記者)