最新記事

ビジネス

「何でも他人の責任」な人より、責任感の強い「優秀な人」の方が大きな失敗をする事実

2022年12月24日(土)08時53分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

僕らは、ネジがきつく締まった世界を生きている。その上、資本主義という収縮包装(シュリンクラップ)が、すべてをさらにすき間なく、幸せに、生産的にしようと締めつけてくる。だから時には、誰もがひどいストレスをため込んでしまう。(略)

当然ながら、壁にぶち当たっている最中に「僕は大丈夫」と考えるのは、簡単なことではない。たぶん、「自分のせいじゃない」と学ぶことも。

なぜこんなことが難しいのかといえば、ほかの誰もそう言ってくれないからだ。ネット上のメッセージも、僕らが暮らす社会も、職場の上司も。だから常に「自分が悪い」と思ってしまう。失敗すると、ナイフをおなかに突きつけて、さらに自分を傷つけてしまう。僕らは自分自身に、何をしているのだろう?

2016年に学術誌『Psychological Bulletin(心理学紀要)』に発表されたある調査報告書によると、「完璧主義者が年々増加している」。この調査で、英国のバース大学のトーマス・カランとヨーク・セント・ジョン大学のアンドリュー・P・ヒルという2人の研究者が、こう主張している。

「最近の若い世代は『他人からの要求が厳しくなっている』と感じ、自分も他人や自分自身に厳しくなっている」と。僕らは、完璧になりたくて仕方ないのだ。そしてそれが、失敗をさらにつらいものにしている。

問題を大きくしているのは、いつも自分自身だ

心に留めておく必要がある。「怒りっぽい上に業績の悪い」同僚は、最初は業績が悪いだけだったけれど......誰も手を差し伸べないから、イヤな態度を取るようになったのかもしれない。(略)

「『お前はしくじってる』なんて教えてやる必要はない。うまくやる方法を教えてやればいいんだ」そう、大事なのはそこだ。(略)

物事が思い通りにいかないとき、人は問題の大きさを誇張する。ささいなことを大惨事みたいに考えてしまうのだ。「ドアが小さすぎて通れない」と思い込み、みんなの視線が自分の愚かさに注がれている、と考える。そして、悪夢のような状況がひたすら悪化していく、と決め込んでしまう。でも、それが間違っていたら?


※第2回:「全部自分のせいだ!」と落ち込んでも、実は誰も見ていないという寂しい結果 に続く


 『9ルール──自分を変える「黄金の法則」
 ニール・パスリチャ[著]/ 長澤 あかね[翻訳]
 大和書房[刊]


(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

IT大手決算や雇用統計などに注目=今週の米株式市場

ワールド

バンクーバーで祭りの群衆に車突っ込む、複数の死傷者

ワールド

イラン、米国との核協議継続へ 外相「極めて慎重」

ワールド

プーチン氏、ウクライナと前提条件なしで交渉の用意 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口の中」を公開した女性、命を救ったものとは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 6
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中