相次ぐ大型リストラ、9万人もの「テック人材」がクビに 雇用の受け皿は?
GRIM TIMES FOR TECHIES
リストラされた社員たちはどこへ向かうのか(メタ社の看板の前で) JOSH EDELSON/AFPーGETTY IMAGESーSLATE
<アメリカの巨大テック企業で相次ぐ大型リストラ、業界の労働市場は2010年代とは全くの別世界に>
テック業界で、大量解雇が相次いでいる。2022年は、この業界で働くホワイトカラー労働者たちにとって、20年余り前のドットコム・バブル崩壊以降で最悪の1年になりそうだ。
フェイスブックやインスタグラムの運営会社であるメタが約1万1000人を切り、アマゾンは約1万人、マイクロソフト、オンライン決済大手のストライプ、写真・動画共有アプリのスナップチャットを運営するスナップはそれぞれ約1000人、企業向け顧客管理ソフトウエア大手のセールスフォースとオンライン不動産データベースのジロウも数百人を解雇した。
起業家のイーロン・マスクに買収されたツイッターは、全7500人ほどの社員の約半分を解雇。さらに、投稿のモニタリングと削除などの業務を担っていた契約社員も数千人解雇した(これに加えて、マスクの方針に異を唱えたために解雇された人たちもいる)。
テック業界におけるレイオフ情報を追跡しているウェブサイト「レイオフス・fyi」の集計によると、アメリカで今年に入ってから失われた雇用は11月半ばの時点で少なくとも8万6700人に上る。
アメリカのテック業界がついに減速し始めた原因としては、金利の上昇、潜在的な市場の縮小、投資の減少などを挙げることができる。一部の業界幹部は、(特にコロナ禍の時期に)過剰に人材を採用したことと、成長への過剰な期待を抱いていたことも原因として指摘する。
新しい求人の多くは契約社員
「ベンチャーキャピタル業界では、テック企業の社員の数が多すぎると言われることが多くなった」と、労働者の権利擁護に取り組む団体「コレクティブ・アクション・イン・テック」のエミリー・メーゾは述べている。「最近解雇された働き手たちに聞けば、むしろ人手が足りていないと言うだろう。週当たり40時間よりはるかに長い時間働いている人も多い......それでも、景気後退期には、労働者が真っ先に打撃を被る」
2010年代にテック業界で働き始めたプログラマーやエンジニア、デザイナーといった人たちは、その当時とは全く異なる労働市場に放り出されている。現時点でまだ人員整理を発表していない企業も、採用を減らしたり、退職者の補充を停止したりしている場合がある。
最近の求人では、以前のような手厚い福利厚生制度は提供されないケースが多い。オフィスでの社員向けサービスや充実した手当も、しばしばコスト削減の対象になっている。