相次ぐ大型リストラ、9万人もの「テック人材」がクビに 雇用の受け皿は?
GRIM TIMES FOR TECHIES
待遇の悪化は、福利厚生の面だけにとどまらない。ツイッターを解雇されたエンジニアの1人がサンフランシスコ・クロニクル紙に語ったところによると、その人物はいくつもの企業から声を掛けられたが、「フルタイムの社員として採用するという会社は20%ほどにすぎなかった。それ以外の会社は、フルタイムの社員より整理しやすい契約社員しか採用するつもりがなかった」と言う。
こうした状況は、キャリア・コンサルタントのジェシカ・B・デービスも感じている。「転職が難しくなっている。昔は、会社を辞めて次の会社に移ることができたけれど、最近は制約が増えている」
業界内の格差も見過ごせない。同じ業界で働いていても、一部の人たちはほかの人たちに比べて、ことのほか厳しい状況に置かれているのだ。
「『テック・ワーカー』とひとくくりにされているために見えにくいが、この業界にはさまざまな面で非常に立場が弱い人たちがいる」と、メーゾは指摘する。「契約社員は給料が安く、投稿のモニタリングやカスタマーサービスの仕事をしている人は、ソフトウエア・エンジニアに比べて給料が4分の1程度の場合もある」
雇用の受け皿はどこにある?
テック業界で職を失った大勢の働き手たちは、どこへ向かうのか。巨大テック企業以外がその受け皿になる場合もありそうだ。
サンフランシスコのあるベンチャーキャピタルは、そのような人たちの起業を支援する取り組みを始めている。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院は、最近テック大手を解雇された人たちがMBAプログラムに出願する際に、標準テストを免除することにした。
この種の人材の採用に前向きな業界もある。例えば、需要の拡大と政府の資金拠出により好況に沸くグリーンテック分野の企業は、テック大手を解雇された高スキルの人材を雇うことにとりわけ熱心だという。
テック関連の人材への需要が急速に高まりそうな業界はほかにもある。ロジスティクスおよびサプライチェーン、医療、サイバーセキュリティー・インフラ、データ分析、宿泊・旅行、そして旧来の情報テクノロジー関連の企業などがそうだ。
これらの職は「テック業界の雇用」には分類されない場合が多いし、テック大手に比べれば給料や手当は少ないかもしれない。しかし、ソフトウエアとハードウエアのメンテナンス、自社アプリの開発、顧客が用いるプログラムの構築など、テック関連のスキルが役に立つ仕事だ。