最新記事

大型リストラ

相次ぐ大型リストラ、9万人もの「テック人材」がクビに 雇用の受け皿は?

GRIM TIMES FOR TECHIES

2022年12月15日(木)14時25分
ニティシュ・パーワ(スレート誌ライター)
Meta本社の看板

リストラされた社員たちはどこへ向かうのか(メタ社の看板の前で) JOSH EDELSON/AFPーGETTY IMAGESーSLATE

<アメリカの巨大テック企業で相次ぐ大型リストラ、業界の労働市場は2010年代とは全くの別世界に>

テック業界で、大量解雇が相次いでいる。2022年は、この業界で働くホワイトカラー労働者たちにとって、20年余り前のドットコム・バブル崩壊以降で最悪の1年になりそうだ。

フェイスブックやインスタグラムの運営会社であるメタが約1万1000人を切り、アマゾンは約1万人、マイクロソフト、オンライン決済大手のストライプ、写真・動画共有アプリのスナップチャットを運営するスナップはそれぞれ約1000人、企業向け顧客管理ソフトウエア大手のセールスフォースとオンライン不動産データベースのジロウも数百人を解雇した。

起業家のイーロン・マスクに買収されたツイッターは、全7500人ほどの社員の約半分を解雇。さらに、投稿のモニタリングと削除などの業務を担っていた契約社員も数千人解雇した(これに加えて、マスクの方針に異を唱えたために解雇された人たちもいる)。

テック業界におけるレイオフ情報を追跡しているウェブサイト「レイオフス・fyi」の集計によると、アメリカで今年に入ってから失われた雇用は11月半ばの時点で少なくとも8万6700人に上る。

アメリカのテック業界がついに減速し始めた原因としては、金利の上昇、潜在的な市場の縮小、投資の減少などを挙げることができる。一部の業界幹部は、(特にコロナ禍の時期に)過剰に人材を採用したことと、成長への過剰な期待を抱いていたことも原因として指摘する。

新しい求人の多くは契約社員

「ベンチャーキャピタル業界では、テック企業の社員の数が多すぎると言われることが多くなった」と、労働者の権利擁護に取り組む団体「コレクティブ・アクション・イン・テック」のエミリー・メーゾは述べている。「最近解雇された働き手たちに聞けば、むしろ人手が足りていないと言うだろう。週当たり40時間よりはるかに長い時間働いている人も多い......それでも、景気後退期には、労働者が真っ先に打撃を被る」

2010年代にテック業界で働き始めたプログラマーやエンジニア、デザイナーといった人たちは、その当時とは全く異なる労働市場に放り出されている。現時点でまだ人員整理を発表していない企業も、採用を減らしたり、退職者の補充を停止したりしている場合がある。

最近の求人では、以前のような手厚い福利厚生制度は提供されないケースが多い。オフィスでの社員向けサービスや充実した手当も、しばしばコスト削減の対象になっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 2
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 3
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった...「ジャンクフードは食べてもよい」
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 9
    「豊尻」施術を無資格で行っていた「お尻レディ」に1…
  • 10
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中