終焉の始まりか 仮想通貨「寵児」と呼ばれたFTX創業者、転落の軌跡
バハマで逮捕されたFTXトレーディングの創業者、サム・バンクマンフリード氏 Dante Carrer - REUTERS
経営破綻した暗号資産(仮想通貨)大手交換所FTXトレーディングの創業者、サム・バンクマンフリード氏(30)が12日、バハマ当局に逮捕された。仮想通貨業界の救世主としてもてはやされた寵児(ちょうじ)の突然の凋落(ちょうらく)は、投資家と仮想通貨の愛好家に衝撃をもたらしている。
ダミアン・ウィリアムズ米検事は、バンクマンフリード氏は米政府の要請によりバハマ当局に逮捕されたと発表した。バハマの司法長官は、米国が同氏の引き渡しを求める可能性が高いとの声明を出した。
また複数の米連邦機関が、バンクマンフリード氏が最高経営責任者(CEO)を務めていた当時のFTXによる顧客資金の取り扱いについて調査中だ。
同氏はFTXの経営で数十億ドルの個人資産を築いた。FTXは世界最大級の仮想通貨交換所で、1月には企業価値を320億ドルと評価されている。
バンクマンフリード氏は破綻の11月11日にCEOを引責辞任した後は、FTXで何の役割も果たしていないと述べている。ただVoxの記者に対し、FTXが米連邦破産法11条の適用を申請したことは間違いだったと発言。ツイッターとメディアのインタビューで、自身が資金を調達して顧客に返済することは依然として可能だと示唆していた。具体的な計画は示していない。
FTXは同氏の後任に企業再建専門家のジョン・レイ氏を起用した。
ワイルドな髪形とTシャツ
金融業界でバンクマンフリード氏はイニシャルの「SBF」で知られ、ワイルドな髪形とTシャツ、短パンといった型破りな姿で有名人になっていた。討論会にはクリントン元米大統領、ブレア元英首相といった著名政治家のほか、スーパーモデルのジゼル・ブンチェンさんらと並んで登場した。
バンクマンフリード氏は2020年の米大統領戦でバイデン現大統領に520万ドルを献金し、民主党候補者に対する高額献金者の最上位に名を連ねた。
分散型金融プラットフォーム、ハブル・プロトコールの共同創業者マリウス・チューボタリュー氏は「SBFに何か問題があると言う人はだれもいなかった」と語る。