個人事業主やフリーランスは廃業の危機!? 多くの団体が「インボイス制度の延期を」と訴える根本理由
インボイス制度で消費税がさらに複雑に
しかも、インボイス制度によって、この仕組みがさらに複雑になります。
まず、事業主はインボイスの登録をして、13桁の登録番号をもらいます。
次に、1万円の仕事をして、消費税込み1万1000円をもらう時に、「インボイス」つまり登録番号と消費税率が記載された請求書を提出します。
また、仕事の経費についても、買い物をしたお店から「インボイス」をもらう必要があります。
このように、消費税を「インボイス」を基に計算することになる分、消費税の仕組みがより複雑になります。
財務省のねらいは「益税の廃止」
なぜわざわざこんな面倒なことをするのでしょうか。
理由は、「国にとってメリットが大きい」からです。
「インボイス」には税率が明記されるため、税率をごまかす不正を防止できます。
また、国は登録番号を使って、すべての取引を追跡することも可能になります。そのため、不正や脱税を減らす効果が期待できます。
もう一つの大きな理由が、「益税の廃絶」です。
年間売り上げが1000万円以下の事業者は、事務負担が大きいため、消費税を免除されています。
つまり、売り上げ1000万円以下の事業者は、1万円の仕事をして消費税を1000円もらうと、その1000円が収入になります。これが「益税」です。
もちろん、経費として消費税を払っているので、1000円まるごと儲けにはなりませんが、お得なのは間違いありません。
消費税が3%の時代、この益税はあまり問題視されていませんでした。しかし、消費税が10%になると、益税の額が多すぎると問題になったのです。
国は消費税を12%、15%、20%と、今後消費税をさらに上げていく予定です。益税が20%にもなると、かなり不公平感が出てくるわけです。
そのため、国はインボイス制度の導入によって、この益税をなくしたいと思っているのです。