DAOは「スマホ登場」以上のパラダイムシフト...ここまで騒がれるのには理由がある
『攻殻機動隊』はDAOの未来を予言していた?
── これまで読まれた本のなかで、未来を見通すうえで参考になった本や、価値観に大きな影響を与えた本はありますか。
鈴木 士郎正宗さんのマンガが原作になっているSF小説版『攻殻機動隊』です。90年代初期に生まれたSFって、巨大な統治者が現れたり、アイデンティティは身体それとも電脳に宿るのかと問いかけたり、現在議論されている課題を描いていることが多い。『攻殻機動隊』では未来の予言書的な世界観が広がっていて、読み直すたびに新たな発見があります。DAOの概念がなかった時代に、DAOが広がった社会で起きうる問題を描いていて、どうやってそんな着想ができたのだろうと思わずにいられません。
亀井 価値観に影響を及ぼした本といえば、大前研一さんと柳井正さんの共著『この国を出よ』です。大学4年生のときにこの本を読んで、海外に出て挑戦をしようと背中を押されました。その後2011年にサンフランシスコへ行き、スタートアップコミュニティに出合ったので、人生を変えた本といえるかもしれません。著者おふたりは、海外で学んだあと、日本に戻って還元することの大切さも説いています。その考えに私も影響を受けました。今後は世界中のメンバーが参加するDAOに参加することも、「この国を出る」ための1つの選択肢だと伝えたいですね。
赤澤 価値観に影響を与えたのは、『置かれた場所で咲きなさい』です。ノートルダム清心女子大学の学長も務めた渡辺和子さんが書いたミリオンセラーです。Web3やDAOなど色々なトレンドが生まれてくるなかで、自分はどう生きたいのかと振り返るきっかけをくれました。自分にないものばかり追っても、人と比べてもしょうがない。いま置かれた場所でどう自分の花を咲かせるか。根っこにある自分の軸と向き合うように促してくれた大事な一冊です。
── 素敵な本の紹介をありがとうございます。最後にFracton Venturesのビジョンを教えてください。
鈴木 Web3やDAOは私たちの価値観や社会のあり方を本質的に変えていく潮流です。Fracton Venturesは投資組織ではなくインキュベーターとして、こうした潮流をベースにしたスタートアップやプロジェクトを育てていくことに貢献していきたいと考えています。色々なチャレンジを考えているDAOに対し、多様な専門家のアイディアを持ち込んでいきたいですね。世界的にもレアなチャレンジですが、一緒に挑戦していきたいという仲間を増やしていけたらと願っています。