最新記事

テクノロジー

DAOは「スマホ登場」以上のパラダイムシフト...ここまで騒がれるのには理由がある

2022年11月15日(火)17時10分
flier編集部
『Web3とDAO』共著者

亀井聡彦氏、鈴木雄大氏、赤澤直樹氏(フライヤー提供)

<『Web3とDAO』で新たなテクノロジーとコミュニティの本質を紹介した著者3人が語る「DAOの先」は、『攻殻機動隊』に描かれた世界だった>

いま世界が注目するDAO(自律分散型組織)。ブロックチェーン上で成立する組織の新しい形であるDAOは、現時点で「中心のない、ミッションドリブンのコミュニティ」を意味するそうです。DAOに注目が集まっている理由は何なのか? 公平で民主的な組織構造といわれるDAOが広がることで、社会や意思決定のあり方はどのように変わっていくのでしょうか。

その概要と本質がつまった一冊が『Web3とDAO』です。著者の亀井聡彦さん、鈴木雄大さん、赤澤直樹さんに、DAOの可能性についてお聞きします。

※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

◇ ◇ ◇


Web3とDAOの源流はインターネット黎明期にある

── 『Web3とDAO』を執筆した背景は何でしたか。

亀井聡彦さん(以下、亀井) 2021年になってNFTやメタバースといった言葉が、ビジネスの世界でもバズりはじめました。ただ、個々の用語が独り歩きする前に、NFTやメタバースはWeb3に包括されているものだという点を広く知らせることが大事だと考えました。Web3とは、ブロックチェーン技術をもとに構築される「次世代の分散型インターネット」のことで、社会的な大変化を引き起こす潮流です。

私たちFracton Venturesは2021年の創業時から、企業向けに教育・啓蒙活動をおこなっていました。そしてちょうど出版社から書籍化のお声がけをいただいたんです。

赤澤直樹さん(以下、赤澤) Web3は2022年にいきなり登場した概念に見えますが、実は1960年代後半にインターネットの原型が生まれたとき以来の思想が受け継がれてきた、歴史の一ページなんです。そうした文脈を知っていただけるよう、本書の最初でインターネットの歴史を振り返ったうえで、Web3とDAOの概要と本質を綴りました。

221111fl_wdq02.jpg

Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」
 著者:亀井聡彦、鈴木雄大、赤澤直樹
 出版社:かんき出版
 要約を読む

DAOとサロンとを分ける「決定的な違い」

── DAOはWeb3を語るうえで欠かせない概念だと聞きました。DAOはどのような世界観をめざすものでしょうか。

赤澤 DAOは発展途上の概念なので、人によって定義がさまざまです。その前提でわかりやすく説明すると、「中心のない、ミッションドリブンのコミュニティ」のようなもの。ブロックチェーン上で、参加者が協力して管理・運営する組織です。地理的・人種的な制約もなく、多様な個人がコミュニケーションして貢献できるフラットな組織です。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中