DAOは「スマホ登場」以上のパラダイムシフト...ここまで騒がれるのには理由がある
亀井聡彦氏、鈴木雄大氏、赤澤直樹氏(フライヤー提供)
<『Web3とDAO』で新たなテクノロジーとコミュニティの本質を紹介した著者3人が語る「DAOの先」は、『攻殻機動隊』に描かれた世界だった>
いま世界が注目するDAO(自律分散型組織)。ブロックチェーン上で成立する組織の新しい形であるDAOは、現時点で「中心のない、ミッションドリブンのコミュニティ」を意味するそうです。DAOに注目が集まっている理由は何なのか? 公平で民主的な組織構造といわれるDAOが広がることで、社会や意思決定のあり方はどのように変わっていくのでしょうか。
その概要と本質がつまった一冊が『Web3とDAO』です。著者の亀井聡彦さん、鈴木雄大さん、赤澤直樹さんに、DAOの可能性についてお聞きします。
※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。
Web3とDAOの源流はインターネット黎明期にある
── 『Web3とDAO』を執筆した背景は何でしたか。
亀井聡彦さん(以下、亀井) 2021年になってNFTやメタバースといった言葉が、ビジネスの世界でもバズりはじめました。ただ、個々の用語が独り歩きする前に、NFTやメタバースはWeb3に包括されているものだという点を広く知らせることが大事だと考えました。Web3とは、ブロックチェーン技術をもとに構築される「次世代の分散型インターネット」のことで、社会的な大変化を引き起こす潮流です。
私たちFracton Venturesは2021年の創業時から、企業向けに教育・啓蒙活動をおこなっていました。そしてちょうど出版社から書籍化のお声がけをいただいたんです。
赤澤直樹さん(以下、赤澤) Web3は2022年にいきなり登場した概念に見えますが、実は1960年代後半にインターネットの原型が生まれたとき以来の思想が受け継がれてきた、歴史の一ページなんです。そうした文脈を知っていただけるよう、本書の最初でインターネットの歴史を振り返ったうえで、Web3とDAOの概要と本質を綴りました。
『Web3とDAO 誰もが主役になれる「新しい経済」』
著者:亀井聡彦、鈴木雄大、赤澤直樹
出版社:かんき出版
要約を読む
DAOとサロンとを分ける「決定的な違い」
── DAOはWeb3を語るうえで欠かせない概念だと聞きました。DAOはどのような世界観をめざすものでしょうか。
赤澤 DAOは発展途上の概念なので、人によって定義がさまざまです。その前提でわかりやすく説明すると、「中心のない、ミッションドリブンのコミュニティ」のようなもの。ブロックチェーン上で、参加者が協力して管理・運営する組織です。地理的・人種的な制約もなく、多様な個人がコミュニケーションして貢献できるフラットな組織です。