最新記事

テクノロジー

DAOは「スマホ登場」以上のパラダイムシフト...ここまで騒がれるのには理由がある

2022年11月15日(火)17時10分
flier編集部

── ミッションドリブンということで、DAOという組織は「サロン」と感覚的に似ている気がしますが、どんな違いがあるのですか。

赤澤 サロンとの最大の違いは「中心に人がいるか」です。サロンだと、貢献してくれた人に報酬を与えるとして、その意思決定の中心人物である主催者や、報酬を口座に振り込む経理担当者がいます。そうした構造ゆえに、上下関係がどうしても生まれてしまう。

一方DAOでは、組織を統率するリーダーはおらず、メンバーみんなで意思決定を担います。コミュニティの資産をデジタル公共財として参加者で管理するのです。その意味では、DAOは地域の組合や寄合に近いですね。

ただ、土台にブロックチェーンがあることで、ネット上で数億円レベルのオペレーションが可能になっています。スマホの登場も画期的でしたが、あくまでPCなどを使ってインターネット上でできていたことが、身近なモバイル端末でも簡単にできるようになっただけともいえますよね。一方、DAOの仕組みはそれ以上のパラダイムシフト感があります。

意思決定をもっとオープンに、フェアに

── DAOが個人や社会に与えるプラスの影響について教えてください。

鈴木雄大さん(以下、鈴木) 個人のメリットは普段得られない経験を積める点です。現時点ではDAOに参加している日本人が限られています。そのため、いま加入すれば、日本人代表として意見を求められることも多くなり、個人のネットワークを広げやすいでしょう。

社会に対するメリットは、意思決定をもっとオープンでフェアなものにできること。株式会社では、経営層が重要事項を会議室のなかで決議し、その結果だけがトップダウンでメンバーに共有されます。その点DAOなら、意思決定の「過程」を見える化できる。DAOでは、誰でも提案のドラフトを出せますし、みんなで議論ができます。そして方向性が固まると、代表者が提案を書き、トークン保持者が投票する仕組みです。つまり、メンバーの意見が尊重されやすいといえます。しかも、コミュニティに対する貢献度しだいで参加者一人ひとりに還元される度合いが決まるので、フェアな仕組みだといえます。

また、DAOは本名を出す必要がないので、国籍も年齢もジェンダーも問われません。若いときから活躍できるダイバーシティに富んだ世界で、同じミッションをめざす仲間に出会い、協働できるのは画期的だなと思います。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中