DAOは「スマホ登場」以上のパラダイムシフト...ここまで騒がれるのには理由がある
── ミッションドリブンということで、DAOという組織は「サロン」と感覚的に似ている気がしますが、どんな違いがあるのですか。
赤澤 サロンとの最大の違いは「中心に人がいるか」です。サロンだと、貢献してくれた人に報酬を与えるとして、その意思決定の中心人物である主催者や、報酬を口座に振り込む経理担当者がいます。そうした構造ゆえに、上下関係がどうしても生まれてしまう。
一方DAOでは、組織を統率するリーダーはおらず、メンバーみんなで意思決定を担います。コミュニティの資産をデジタル公共財として参加者で管理するのです。その意味では、DAOは地域の組合や寄合に近いですね。
ただ、土台にブロックチェーンがあることで、ネット上で数億円レベルのオペレーションが可能になっています。スマホの登場も画期的でしたが、あくまでPCなどを使ってインターネット上でできていたことが、身近なモバイル端末でも簡単にできるようになっただけともいえますよね。一方、DAOの仕組みはそれ以上のパラダイムシフト感があります。
意思決定をもっとオープンに、フェアに
── DAOが個人や社会に与えるプラスの影響について教えてください。
鈴木雄大さん(以下、鈴木) 個人のメリットは普段得られない経験を積める点です。現時点ではDAOに参加している日本人が限られています。そのため、いま加入すれば、日本人代表として意見を求められることも多くなり、個人のネットワークを広げやすいでしょう。
社会に対するメリットは、意思決定をもっとオープンでフェアなものにできること。株式会社では、経営層が重要事項を会議室のなかで決議し、その結果だけがトップダウンでメンバーに共有されます。その点DAOなら、意思決定の「過程」を見える化できる。DAOでは、誰でも提案のドラフトを出せますし、みんなで議論ができます。そして方向性が固まると、代表者が提案を書き、トークン保持者が投票する仕組みです。つまり、メンバーの意見が尊重されやすいといえます。しかも、コミュニティに対する貢献度しだいで参加者一人ひとりに還元される度合いが決まるので、フェアな仕組みだといえます。
また、DAOは本名を出す必要がないので、国籍も年齢もジェンダーも問われません。若いときから活躍できるダイバーシティに富んだ世界で、同じミッションをめざす仲間に出会い、協働できるのは画期的だなと思います。