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環境G7声明草稿、日本が修正を提案 「ゼロエミッション車の普及目標」削除を要求
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ドイツで開かれている主要7カ国(G7)首脳会議の声明草稿から、二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車」の普及目標を削除するよう日本が求めていることが分かった。写真はベルリンの高速道路で2018年11月撮影(2022年 ロイター//Fabrizio Bensch)
ドイツで開かれている主要7カ国(G7)首脳会議の声明草稿から、二酸化炭素(CO2)を排出しない「ゼロエミッション車」の普及目標を削除するよう日本が求めていることが分かった。ロイターが草稿を確認した。
ウクライナ情勢や食料・エネルギー供給について話し合う首脳会議は、気候変動も主要テーマとして議論している。
日本は声明の草稿にある「2030年までにゼロエミッション車の新車販売比率を少なくとも50%に引き上げる」という文言の削除を提案。代わりに「この目標に近づくためにG7各国が採用している様々な道筋を認識し、ゼロエミッションの小型車の販売とシェアを大幅に増加させる」という抽象的な表現に変えられないか打診した。
事情に詳しい関係者によると、日本は実際にこの修正を提案した。最終案にどう反映されるかは現時点で分かっていない。首脳会議は28日まで。
ロイターは日本の外務省にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。
複数の関係者によると、日本は5月末に開かれたG7の気候・環境・エネルギー大臣会合の声明でも、2035年までにG7各国内で販売される新車をすべてゼロエミッション車にするという目標の記述を削除するよう提案した。
最終的に声明は2035年の目標には触れず、「排出ゼロの公共交通機関及び公用車を含む小型車の排出ゼロ車両の販売、割合、及び導入を相当に増加させること」などで、「2030年までに高度に脱炭素化された道路部門にコミットする」となった。
欧米や中国メーカーが純粋な電気自動車(EV)に舵を切る一方、日本は内燃機関とモーターで動くハイブリッド車(HV)も「電動車」に含めている。水素やバイオ燃料などと組み合わせれば内燃機関も脱炭素技術として活用可能で、充電インフラなどが整っていない国や地域には必要だとしている。
岸田文雄政権が今月7日に閣議決定した経済・財政運営の指針「骨太の方針」は、与党・自民党が日本自動車工業会(自工会)に配慮して文案を修正し、HVも電動車に含まれることを明確にしたことがロイターの取材で明らかになっている。
(山崎牧子、Kate Abnett 取材協力:竹中清)
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