自分で成長を止めないで...「このまま終われるか!」から始まる生き直し戦略
本書では、「幸せへの6つの力」として、自己受容を発端に、人格的成長、自律性、人生の目的、環境制御力、積極的な他者関係があると書きました。なかでも特に大切だと感じているのは「人格的成長」です。このままで終われるか!終わりたくない!と怒り、自分で限界さえ決めなければ、可能性は無限大に広がります。自分を信じろ!と、同世代にエールを送りたかった。
半径3メートルの人に愛をケチっていないか?
── 幸せへの6つの力は30代の私でも今から意識しなくてはと思える内容でした。いずれ50歳を迎える読者もふくめ、人生の目的とは何かと迷う方に対して、河合さんはどんなアドバイスをしますか。
人生の目的は何かと聞かれて、即答できる人は滅多にいません。なので、迷っている人には、まずは「大丈夫!」と伝えたいですね。
『夜と霧』で有名な精神科医フランクルは、こんな金言を残しています。「人生に何かを期待するのではなく、人生があなたに期待しているのだ」と。迷っているときって、会社や社会という大きな枠組みの中で、自分の役割が曖昧になっている時だと思うんですね。自分の存在意義が感じられないとか、働く意味や生きている意味がわからないとか。そういう時は、「会社の中の私」ではなく、「私を取り囲む半径3メートルの中の私」としての役割を考えてみてはどうでしょうか。
「幸福の方程式」をつきとめようとしたハーバード・メディカル・スクールの研究「グラント・スタディ」では、自分の生活世界の人々との関係性が幸せのカギを握っていることが明らかになっています。いい人間関係を築くには、愛をケチらないことです。周りの人に愛をケチらなければ、いつしか自分の道のやるべきこと、やりたいこと、進む道が見えてきます。
『夜と霧』
著者:ヴィクトール・E・フランクル
翻訳:池田香代子
出版社:みすず書房
要約を読む
特別なことをする必要はないのです。だって、誰しもが人を思いやる気持ちをもっているのですから。ただ、余裕がないと、つい意地悪なことをいったり不機嫌に振る舞ったりしてしまう。そんなときこそ、「愛をケチるな!」と自分に言ってください。おばあさんが道に迷っていたら、「お手伝いしましょうか?」と声をかければいい。近所の子供が新しい靴で走っていたら、「かっこいいね!」と声をかければいい。そういった小さな行動をルーティンにすると、不思議と「幸せへの力」が引き出されていくんです。