最新記事

学び直し

自分で成長を止めないで...「このまま終われるか!」から始まる生き直し戦略

2022年6月7日(火)16時42分
flier編集部
河合薫氏

Kaoru Kawai

<健康社会学者で『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』の著者・河合薫氏が、定年後に焦りや不安を抱く同世代に伝えたいこと>

※このインタビュー記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

全日本空輸のキャビンアテンダントを経て、気象予報士としてニュースステーションなどに出演し、現在は健康社会学者として活躍する河合薫さん。人と環境の関わり方に注目し、幸福に生きるための方法を研究し、書籍の執筆や講演活動を行っています。

新著『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』(プレジデント社)は、「45歳定年制」や50代の希望退職者を募る動きが加速するなか、組織で仕事に邁進してきた50代前後の方々のリアルが胸に迫る一冊です。これからの時代に必要な「半径3メートルの幸福論」とは何なのでしょうか?

◇ ◇ ◇


コロナで気づいた「成長を止めようとしていた自分」

── 本書を執筆しようと思ったきっかけは何でしたか。

新型コロナウイルスの流行によって、私自身が「このままじゃヤバい」と危機に直面したことが影響しています。これまで一つ一つの仕事をしっかり積み上げてきましたが、一気に講演活動やイベントがなくなり、衝撃を受けました。

40歳を過ぎた頃の私は、現状に安住して死んだ目をしたような人にはなりたくないと思っていました。ところが、いざ自分が50歳を超えると、「私もフェードアウトモードに入ろうか」などと考え、いつのまにか成長を止めようとしていた。目の前のことを一つ一つ完全燃焼することでしか未来はない、とそれまできちんと生きてきたのに、あちら側の世界の人間になっていたんです。

コロナで生活が大きく変わったことで、焦りとともに「なんとかしなくては」という思いに火がつきました。また当時は、自著『定年後からの孤独入門』に関するインタビュー依頼が増え、大きな反響を得ていたことから、定年後に不安や焦りを抱いている方が多いと感じていた時期でした。サラリーマンの生活は必ず終わりを告げ、肩書も無意味になる。そんなときにどう生きていけばいいのか? 科学的なエビデンスに基づいた「幸せになるための方法」を伝えることで、迷いや恐れを抱く方にエールをおくりたい。そんな思いから、50歳からの人生生き直し戦略として『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』の執筆に至りました。

220603fl_kwk02.jpg

THE HOPE 50歳はどこへ消えた?
 著者:河合薫
 出版社:プレジデント社
 要約を読む

── 本書を通じて一番伝えたいメッセージは何でしたか。

これまでの著作でも、一貫して人の心と心の距離感を縮めることの大切さを伝えてきました。どれほど仕事で高い成果を出し、高い地位を築いていても、家族や職場、地域など自分を取り囲む半径3mの人たちと良い関係が築けていないと、人は幸せを感じることができません。この重要性を、改めて「ゆるいつながり」という言葉で伝えたかったという思いがあります。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

仏財務相、予算協議は「正しい方向」 不信任案可決の

ビジネス

ユーロ圏インフレ率、25年は2.1%と予想=ECB

ビジネス

アングル:米で広がる駆け込み輸入、「トランプ関税」

ビジネス

ドイツ失業率、1月6.2%に上昇 景気低迷が雇用に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ革命
特集:トランプ革命
2025年2月 4日号(1/28発売)

大統領令で前政権の政策を次々覆すトランプの「常識の革命」で世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 4
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 5
    東京23区内でも所得格差と学力格差の相関関係は明らか
  • 6
    ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「…
  • 7
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 8
    フジテレビ局員の「公益通報」だったのか...スポーツ…
  • 9
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 10
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果が異なる【最新研究】
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    緑茶が「脳の健康」を守る可能性【最新研究】
  • 6
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 7
    血まみれで倒れ伏す北朝鮮兵...「9時間に及ぶ激闘」…
  • 8
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 9
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 10
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
  • 10
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中